卯(うさぎ)

卯 干支の由来

【うさぎ】

兎の穏やかな様子から家内安全、跳躍する姿から飛躍を表します。 温厚で従順

いつも遠い月から私たちを見守ってくれているウサギ。 …というのは、みなさんもご存知の通りのファンタジーですが(笑) 風水の世界では「ウサギは月からの使者」であり 「ツキ(幸運)を呼ぶ動物」として愛されてきました。

「ウサギと亀」のエピソードからも分かるように ウサギは頭の回転が速く、行動も素早い! そこから、ウサギは知恵や行動力、飛躍を象徴する動物としても知られています。

また、一人ぼっちでは生きられない寂しがり屋な動物。 そこから転じて、風水では 「対人運や恋愛運を上げてくれるラッキーアニマル」と考えられており、 とくにピンクのウサギグッズは恋愛運UPのお守りとして人気を集めています。

方角としては、「東」を司る動物です。

卯の動物:ウサギ(兎)、ベトナムでは猫

  • 卯の月:旧暦2月
  • 卯の時刻:夜明けの6時を中心とする約2時間
  • 卯の方角:東
  • 五行:木気
  • 陰陽:陰
  • 意味:草木が地面を蔽うようになった状態を表します。

有名な『ウサギとカメ』の話の中で、ウサギはカメと競争をしていましたが油断してカメに抜かれてしまいます。 実力差があっても油断すれば負けてしまうし、コツコツと努力すれば実力では負けていても勝つことだってある、というお話です。 この中でウサギは油断して負けてしまいますが、実際にはナイーブな生き物なのです。 ウサギは寂しいと具合が悪くなる。 よく言われます。

しかし、実際には寂しくて亡くなることはありません。 子ウサギの頃、ウサギは他の子ウサギと寄り添って過ごしています。 それで体温を保温しているのですが、急に一匹だけになると体温調整がうまくできずに、具合が悪くなることがあります。 また、ストレスなどを感じやすい生き物なので、食欲などがなくなったりして体調が悪くなったのを放っておくと最悪のケースになることもあります。 やはり、ちゃんと見ていないといけません。 それはどんな生き物でも同じでしょう。 飼うのであれば責任は持たなくてはいけません。

ウサギがナイーブだと聞くと、『ウサギとカメ』のウサギも単純に油断していたのではなくて、一人で寂しかっただけかもしれません。 負けたとしても、カメと一緒の方が良かったのだ。 一人で寂しくて、寝ているふりをしてカメを見ていたのかも? 考えすぎでしょうか?


昔、天竺でウサギとキツネとサルが仏教の修行に励んでいました。 そこに貧しい老人が現れ、養ってくれる家族も食べ物もない、と言いました。 サルは木の実をとったり、里で人々の果物などを持ってきて与えました。 キツネは川で魚をとったり、お墓のお供え物をとってきて与えました。 サルとキツネはそれらで食事の準備をしました。

一方、ウサギは方々探しましたが、老人に与えられるものは見つかりません。 手ぶらで帰ってきたウサギを、サルやキツネ、老人までもが嘲笑しました。 ウサギは言いました。 『確かに私には食べ物を持って来ませんでした。ですからこの身を焼いてお食べください』 そう言い終わるやいなや、ウサギは火の中に飛び込みました。 すると老人はその姿を変えました。 その老人は帝釈天だったのです。

そして全ての生き物たちにその善行を見せるために、月の中にウサギを移したのです。 月にウサギの姿と煙があるのはそのためなのだそうです。 全ての生き物が月を見る度に、ウサギの善行を思い出すように。 これは今昔物語に載っている逸話です。 ウサギが捨身慈悲、滅私献身の象徴として描かれているのです。 月にウサギがいるのはそういう理由があったのですね。 今度からウサギを見る目が変わりそうです。


兎の神様

◯ウサギの布施
(ジャータカ・お釈迦様の前生譚より)

昔、深い森の中に賢いウサギが住んでいました。そのウサギにはサルと山犬とカワウソの3匹の仲の良い友達がいました。4匹は互いに自分のえさをとる場所も決め、えさを奪い合うこともなく、仲良く暮らしていました。そして毎晩、ウサギはみんなを一ヶ所にあつめて、「貧しい人や困っている人たちに布施をしなくてはいけないよ」と言い聞かせました。

その様子を天から眺めていた帝釈天(たいしゃくてん)という神様は、ウサギの心根が本物かどうかを確かめようと、バラモンの修行者に姿を変えて動物たちに食べ物を請うことにしました。

まずカワウソのところへ行くと、カワウソは川で獲った魚を「どうぞ召し上がれ」と差し出しました。次に山犬のところでは獲物の肉を与えられました。サルの所では木の実・マンゴーです。最後に修行者はウサギのところへ行き、食べ物を請いました。ウサギは、日頃から草しか食べていないし、この時期にはその草もあまりはえていません。そこでウサギは言いました。

「私にはお布施できる食べ物が何もありませんので、この私の身体を布施します。でもあなたは決して殺生なさいませんでしょうから、薪を集めて火を起こしてください。私は自分でその火の中に飛び込みます。体が焼けたらその肉を食べてご修行に励んでください」

神様は神通力で火を起こしました。その燃えさかる火の中へウサギは飛び込みました。その瞬間、火は冷たい雪に変わったのです。びっくりして唖然としているウサギに正体を明かした神は、心根を疑い、試した事をあやまりました。

神はこのウサギの姿をお月様にえがいて、世界中の皆が、布施することの大切さを忘れないように、と願ったそうです。


◯兎 〜ウサギ 月の兎

「調神社」の「調」と「月」とが共に「ツキ」と読むことから、 月待ち信仰と結びつき月の使いといわれる「兎」が調神社の神使とされた。

「調(ツキ)神社」と月と兎 「調」は「ツキ」と読み、「つきじんじゃ」と社名を読む。 「つきのみや」とも呼ばれる。 「調神社」は平安時代編纂の「延喜式」に載る格式の高い古社である。 祭神は天照大神(伊勢神宮の祭神)、豊宇気姫命(食物をつかさどる神で伊勢神宮の外宮の祭神)、素戔鳴尊(天照大神の弟神)の三柱で、伊勢神宮との深い縁を示している。 「調」は大宝律令制の「祖・庸・調」の「調」で、成年男子の人頭税として繊維製品、海産物、鉱産物など土地の名産を主に賦課するものだが、ここ(この神社)の場合は伊勢神宮への調物(献納品)を指し米穀なども含んでいた。

この地に伊勢神宮への調物(献納品)の集積配送用の倉庫群があり、この中に「調神社」は鎮座した。 そのため、調物の搬入出の邪魔にならないようにと神社の鳥居や門は取りさられたとのことで、現在もない。江戸時代(享保の頃)に、「調」と「月」が共に「ツキ」と読むことから、「月待ち信仰」に結びついた。 このことから、月の神の使いとされる兎がこの神社の神使とされるようになった。

・調(ツキ)神社は、
「つきのみや」ともよばれる 享保18年(1733)に調神社本殿として建立された社殿(旧本殿)が今でも稲荷として残るが、ここには兎の彫刻もみられ、月待信仰との関係を物語っている。

「ツキはツキを呼ぶ」とのことから、幸運を呼ぶと信仰されている。
さいたま市浦和区岸町3-17-25
宇都宮線/京浜東北線浦和駅西口下車、徒歩600m

子持の兎像が境内入り口の両脇に奉納されている。

・月山権現(月読命)の兎〜月山本宮
山形県にある月山は、羽黒山、湯殿山と共に「出羽三山」と呼ばれるが、出羽三山は古くから山岳修験の山として知られる。
出羽三山は、三本足の霊烏(れいう)に導かれて羽黒山に登った、第32代崇峻天皇の皇子、蜂子皇子によって、推古天皇元年(593)に開かれた。

月山の山頂(1984m)には月山本宮があり、月山権現(月読命)を祀る。
月山八合目の御田ケ原参籠所に月山本宮の鳥居があるが、この前に単体だが大きな兎の石像があり、月山山頂の月山本宮を見上げている。
兎は、月山本宮の祭神、月山権現(月読命)の神使であり、「月」を象徴しているものと思われる。

山形県鶴岡市羽黒町手向字手向7
鶴岡駅から庄内交通バスで月山八合目下車

・田主丸・月読神社
祭神は月読命(つくよみのみこと)。 明治13年(1880)に当地に勧請された神社。
月読命(月神)の神使であるウサギが、鳥居の左右に建つ灯篭の屋上にいた。

灯篭に銘はないが、鳥居は明治41年(1808)の奉納。
九州では、神使、狛犬などの像を屋上に載せた灯篭をときおり見かける。

福岡県久留米市田主丸町田主丸
久大本線「田主丸」駅下車歩8分

・月輪勢至堂(つきのわのせいしどう〜福正寺管轄)
月輪大納言藤原兼実公が常に尊崇礼拝していたと伝えられ、勢至菩薩像を祀る。 建久7年(1196年)の創建と伝う。
勢至菩薩は、月待信仰の「二十三夜待ち」のご本尊である。
このご本尊に、月齢が二十三日の夜、月待ちをして祈れば願い事が叶うと信仰されている。
案内坂によると、堂内の須弥檀の四方には勢至菩薩にお仕えする卯の彫刻が施され、郷の人は兎を食べないといわれる、とある。

月神の神使であり、月の象徴でもある「うさぎ」の一対が奉納されている。 「福うさぎ」と呼ばれている。

埼玉県比企郡滑川町大字月輪454
東武東上線「つきのわ」駅下車15分


◯因幡の白うさぎ

大国主命(おおくにぬしのみこと)は、兄弟と一緒に因幡の国へ行く途中、毛をはがされたうさぎに出会いました。
いじわるな兄弟は、「海の水で体を洗い、風の吹く高い山のてっぺんでかわかしたらいい」とうさぎに言いました。
言われたとおりにやってみると、体がひりひりとしみ、その痛いこと痛いこと。 そこへ通りかかった大国主命は、うさぎにやさしく声をかけました。
うさぎは、「私はおきの島からなんとか因幡の地へ渡りたいと考え、ワニザメをだまし、その背を踏んでやってきたのですが、
それがばれて毛をむしりとられました。あなたの兄弟の言うとうおりにしたら、今度は体中が痛くて苦しいのです」と答えました。
大国主命は、「早く真水で体を洗い、ガマの穂をつけてごらん」といい、うさぎは言われるとおりにしました。
するとうさぎは、元のきれいな姿に戻ることができました。
その後、助けられたうさぎは大国主命に、神代の美女「八上姫」と結ばれると言い、うさぎの言うとおりになりました。

・白兎神社
〜大国主と白うさぎの神話が息吹く〜
古事記や日本書記に記される由緒明らかな神社で、大兎大明神、あるいは兎の宮白兎大明神といわれています。神話の舞台の場所といわれています。

皮膚病、やけどに効く神社として信仰されてきましたが、最近は、神話に登場する大国主と八上姫ゆかりの縁結びの神様として人気です。

所在地鳥取市白兎宮腰603

・白兎伝説の里「八頭町」
鳥取県東部は、因幡(いなば)と呼ばれ、その中心は、かつて、八上郡(現在の八頭町・若桜町・鳥取市河原町あたり)にあったとされます。
そして、八頭町には、八上郡の郡衛(古代の役所)や、古代の寺院の跡が発見されていることから、古くから大きな勢力があったようです。
また、町内にある古墳は、ある伝説のエリアに集中して存在しており、この地には、天照大神降臨伝説と白兎伝説が残っています。

・伝わる「白兎伝説」

むかし、天照大神が山に降臨された時、山頂に仮の宿を営もうとされました。
その時、一匹の兎が道しるべをしたそうです。
その道しるべに従うと、中山よりはるか山の尾続きに二つの大石があり、そこへ誘ったそうです。
ここに仮の宿を営み、しばらくとどまられました。
天から降りられた時、道しるべをした白兎が消えていました。その白兎は「月読尊(つきよみのみこと)」だったからです。
その後、道祖白兎六明神といいならわし、祀神(としがみ)として、この山続きの4つの村の氏神として崇められました。

霊石山・中山尾続きにあるこの4つの村は、現在の八頭町内にある「土師百井(はじももい)・池田・福本・門尾」です。
この地には3つの白兎神社があり、古より、白兎神社大兎(だいと)明神を祀っていたとされています。
いちばん大きかったのは、福本にある「白兔神社」。大正時代の神社合祀で、現在、ご神体は「賀茂神社」に祀られ、社殿は「青龍寺」に移建されました。


◯京都「岡崎神社」

神社の歴史を物語る付近の町名「東天王町」 平安京遷都に際して都の東を守護するために創建され、祭神の素戔嗚尊(すさのおのみこと)はかつて牛頭天王(ごずてんのう)と呼ばれたことから、古くは「東天王社」と呼ばれていました。
明治以降に「岡崎神社」と改められましたが、現在でも付近の町名「東天王町」にその歴史を刻んでいます。
古くから方除け・厄除け・安産の神として厚く信仰されてきました。

・うさぎは神様のお使い

岡崎神社といえば「卯(うさぎ)」ゆかりの神社として知られ、本殿前には狛犬ならぬ狛うさぎがカワイイ姿で守っています。

神社と「卯」のゆかりは、辺りに野うさぎが多く生息していたことに由来するとか、都の東(昔の言い方で「卯」の方角)を守るために創建されたことに由来するなど、諸説が伝えられています。

とにかく、数年前の卯年の初詣には参詣者の列が神社の外へと長蛇の列を成したほど、「卯」ゆかりの神社として厚く信仰されています。社務所で授与されるお守りも「幸福うさぎ守」や飛躍を願う「飛躍(ぴょん)守」などが大人気です。

・うさぎのお腹を擦って子授け祈願

本殿前の狛うさぎの他に、お腹を前に出して立ち上がった愛嬌ある姿をした黒御影石のうさぎの像が手水屋形にあり、その名を「子授兎像」といい、水をかけてお腹を擦ると子授けや安産の願いが叶うといわれています。
女性を中心にお腹を擦ってお参りをする方が多く、社務所で授与される安産のお守りも人気です。


◯弥彦うさぎ伝説

新潟県西蒲原郡弥彦村

その昔、弥彦山には沢山の兎が棲んでいました。 毎日、里へ下りては大切な田畑を荒らす為に、 地元の農民はほとほと困り果ててしまったようです。 農民達の悩みをお聞きになられた彌彦大神様は、 早速弥彦山にいる兎達を全部集めて 「農民達が丹誠込めて作った田畑を荒らすことのないように」 と、お諭しになられたそうです。 すると・・・ すっかり恐れ入った兎達は、絶対に里へ下りていたずらをしませんと固く誓い、 それ以降はまったく被害が無くなったと伝えられております。

農民達は彌彦大神様の御神徳に大変感謝し、 大神様のお諭しを聞いて畏まっている兎達の丸くなった姿を 米の粉で形作ったお菓子を献上したそうです。 大神様はこの菓子を大変喜んでお召し上がりになられ、 「良幸餅(うさちもち)」と名付けられたそうです。 この菓子は後に「玉兎(たまうさぎ)」と名付けられ、 現代まで語り伝えられる弥彦の名産品になっております。


◯三尾神社

滋賀県大津市園城寺町251

三尾(みお)神社は、卯年の卯月卯日、卯の刻に、卯の方角から神様が現れたことから、ウサギが神の遣いとされています。そのため、境内の至る所にうさぎが。 中でも目を惹くのが、「手水舎」のウサギ。 他にも、本殿の幕や透かし塀に、神紋である「真向きのウサギ」がいるので、探してみるのも楽しいですよ。 いただける御朱印にもウサギが描かれていて、ひと際かわいいものになっています。


◯大神神社

奈良県桜井市三輪1422

大神(おおみわ)神社は、日本最古の神社の一つ。 三輪山をご神体としていて、本殿を持っていない、珍しい神社です。 杉やヒノキの木が生い茂る参道を歩けば、神々の息吹を感じられるかもしれません。 また「運命の赤い糸」ゆかりの地として有名で、縁結びのご利益があります。 夫婦岩にご利益をいただいたら、参集殿を訪れてみてください。 まるまるとした「なでウサギ」が出迎えてくれます。 撫でると、撫でた部分の体の痛みをとってくれるとか。

兎のことわざ

・兎死すれば狐之を悲しむ
同類の不幸をその縁者が悲しむ例え。同類の死は自分にも同じ運命が近づくしるしだと言う事。

・兎の上り坂
兎は坂を登るのが早くてい。そのことから、物事が良い条件で順調に進むことの例え。

・兎の昼寝
兎と亀の競争の時に、亀を馬鹿にして昼寝をしたために負けた童話から、油断をして思わぬ失敗を招くこと。又昼寝ばかりする人の事を言う

・兎波を走る
波が白く輝いている様が、あたかも兎が波の上を走っているように見え事から、月影が、水面に映っているさまを例えて言う又兎は馬や象に比べて水に入らないので仏教において浅い段階にとどまっているとも言う

・兎の毛で突いたほど
兎の柔らかい細い毛で突いた程度にほんの少しという事「うさぎの毛の先ほど」とも言う。

・兎に祭文
兎に神仏の御利益を説いても意味が分からず無駄なこと。理解しないものにどんなありがたい教えを説いても無駄である事の例え。
「馬の耳に念仏」「犬に論語」と同じ意味。

・兎の逆立ち
兎が逆立ちすると長い耳が地面に擦れて痛い。そのことから「耳が痛い」「嫌味に聞こえてつらい」という意味。江戸時代に良く使われた洒落。

・兎の角論
兎は角はもちろん無い。根拠のない事について無益でくだらない議論、嘘話。

・兎の角、亀の毛(亀毛兎角)
ありえないこと

・兎の糞
兎の糞はコロコロしていて繋がっていないことから、長続きしないことのたとえ。 または、物事が切れたように分断して、思うようにはかどらない事の例え

・兎の子生まれっぱなし
兎は子育てをほとんどしない事から、自分のした事の後始末を全くしない事の例え。無責任なこと。

・烏兎怱怱
月日の過ぎるのが早い事の例え

・兎の字
兎の漢字と免の漢字の形が似ている事から免職になった事の隠語

・兎を得て罠を忘れる
兎を罠で捕ま得たのに、罠のお陰で捕まえられたことは忘れてしまうその事から目的を果たしてしまうと手段にしていたものが不用になり忘れる。
道具には用が無くなる例え。「魚を得て筌を忘る」と同じ意味

・兎の股引
兎の足が短い事から、何をしても長続きしない事の例え。

・兎の耳
人の知らない事件や噂などを よく聞き出してくること。地獄耳と同じ事

・兎の罠に狐がかかる 思いがけない幸運の例え

・兎を見て犬を放つ
兎を見つけてから犬をとき放しても遅くない。物事は早くにあきらめてはいけない事の例え同じ意味の言葉で「兎見て鷹を放つ」

・兎も七日なぶれば噛み付く
おとなしい兎でさえ七日間いじめれば噛み付く所からどんなにおとなしい人でも何度も辱めを受ければ怒り出すの例え

・寒の兎か白鷺か
冬は兎の毛が白くなる事から、真っ白な物の例え 春の日に兎を釣るよう いつ現れるか分からない兎を待つ、気の長い事の例え

・狡兎三窟
狡兎はすばしっこい兎の事で兎は穴を3つ持っていて敵から追われた時そのどれかに逃げ込んで身を助ける事から、身を守る用意をいつもしておくようにとの教え

・脱兎の如し
逃げる兎の足の速いように、速い事の例え

・年劫の兎
歳を取った悪賢い兎の事、一筋縄では行かない人の事の例え

・株を守りて兎を待つ
昔のやり方にこだわって、前に進まない、融通のきかないことの例え。

・二兎を追う者は一兎を得ず
二匹の兎を同時に追う事で一匹も捕まらない。同時に二つの事を得ようとするとどちらも成し遂げられないという例え、戒め
・始めは処女の如く後は脱兎の如し 始めは弱く見せかけ後で兎のごとくすばやく行動する。始め弱くよそおい油断させ、後に別人のように力を発揮すること

・鹿を逐う者は兎を顧みず
大きな利益を狙う者は小さい利益には目もくれないこと。猟師が売るのに金額の高い鹿を狙っていて安い兎には目もくれない事からきています。

兎のお話し

◯因幡(いなば)の白ウサギ

鳥取県の民話
むかしむかし、隠岐(おき→島根県)の島という小さな島に、一匹の白ウサギが住んでいました。  ウサギは毎日浜辺に出ては、海の向こうに見える大きな陸地に行きたいと思っていました。

 ある日の事、良い事を思いついた白ウサギは、海のサメに言いました。
「サメくん、ぼくの仲間と君の仲間と、どちらが多いか比べっこをしよう。君たちは向こう岸まで海の上を並んでくれ。ぼくはその上を数えながら飛んで行くから」
「いいよ」
 お人好しのサメは、白ウサギの言う通りに向こう岸まで並びました。
「じゃあ、始めるよ。ひとつ、ふたつ、みっつ・・・」
 白ウサギはサメの上をジャンプしながら、向こう岸まで渡りました。
「やーい、だまされたな。比べっこなんてうそだよ。お人好しのサメくん。ぼくはこっちに渡りたかっただけなのさ」
 それを聞いたサメは怒ってウサギを捕まえると、ウサギの皮をはいでしまいました。
「うぇーん、痛いよ!」
 皮をはがされたウサギが泣いていると、若い神さまたちがそこを通りかかり、
「海水を浴びて、太陽と風に当たるといいよ」
と、言いました。
 ウサギが教えられた通り海水を浴びると、ますます痛くなりました。
 そして太陽と風に当てると、さらにもっと痛くなりました。
 そこへ、大荷物を持った神さまがやって来ました。
 その神さまは意地悪な兄さんたちに荷物を全部持たされていたので、遅れてやって来たのです。
「かわいそうに、まず池に入って、体の塩気を良く洗うんだ。それから、がまの穂(ほ)をほぐしてその上に寝転がればいいよ」
 ウサギがその通りにすると、やがて痛みも消えて、全身に元通りの毛が生えてきました。
 この心やさしい神さまは、のちにオオクニヌシノミコトと呼ばれ、人々にうやまわれたそうです。


◯ウサギとカメ (イソップ童話)

カメの足がおそいのを、ウサギがバカにして笑いました。
 すると、カメがいいました。
「あなたより、わたしのほうが、足がはやいですよ」
 それを聞いたウサギは、
「あははは、そんなことはないよ。では、競争してみようか? そうすれば、わかるさ」
と、いい、
「いいですよ。それでは、だれに、審判をしてもらいますか?」
と、カメはいいました。
「キツネがりこうだから、キツネにたのもう」
と、ウサギはいいました。
 そこでキツネが、競争をはじめる合図をしました。
「よーい、どん!」
 たちまち、あしのはやいウサギがカメをひきはなしました。
 しかし、カメはあきらめずに、あるきつづけました。
 ふと、後ろを振り向いたウサギは、カメがあまりにもおそいので、
「勝負は、おれの勝ちだ」
と、安心して、とちゅうで大きな木を見つけると、そこで、一休みしました。
 それからしばらくして、ウサギはおきあがりました。
「あれ? すこしねむってしまったか。まあいい、どうせカメはまだ後ろにいるはずだからな」
 ウサギは大きくのびをすると、そのままゴールにむかいました。
「よし、もうすぐゴールだ。・・・あれ?」
 自分が勝ったと思っていたのに、なんとカメが先にゴールしていたのです。

 

上手な人でも、いいかげんにやっていては、負けてしまいます。
 また、下手な人でも、まじめにやれば、上手な人に勝つ事が出来るのです。


◯お月さまに行ったウサギ

青森県の民話
むかしむかし、サルとキツネとウサギが、神さまのところへ行きました。
「神さま、どうかお願いです。こんど生まれてくる時は、人間にしてください」
 すると、神さまが言いました。
「人間に生まれたいのなら、自分の食べ物を人間にごちそうすることだ」
 そこでサルは山へ行き、クリやカキの実を取ってきました。
 キツネは川へ行って、魚を捕まえてきました。
 ところがウサギの食べ物は、やわらかい草です。
 今は冬なので、やわらかい草は一本もありません。
(こまったなあ。どうしよう?)
 ウサギはガッカリして、サルとキツネのいるところへ戻ってきました。
「ウサギさん、きみのごちそうはどうしたの?」
「だめだよ。草はかれているし、木のめは、まだ出ていないんだ」
 すると、サルが言いました。
「それじゃウサギさんは、いつまでもウサギのままでいるんだな」
「そうだよ。ごちそうも持ってこないで人間に生まれかわりたいなんて、ウサギさんはずるいよ」
 キツネも、怒って言いました。
「ごめん。でも、もう一日だけ待って」

 次の日、ウサギは山へ行くと、かれ木をひろい集めてきました。
 そしてサルとキツネの前に、かれ木をつみあげて言いました。
「今からごちそうを焼くから、火をつけておくれ」
 サルとキツネが火をつけると、かれ木はパッと燃え上がりました。
「ぼくのごちそうはないんだ。だから、・・・だから、ぼくを人間に食べさせておくれ」
と、言うなり、ウサギは火の中に飛び込んだのです。
 その時、空の上から神さまがおりてきて、さっとウサギを抱きかかえると、また空へのぼっていきました。
 サルもキツネも、ビックリ。
 すると、神さまが言いました。
「サルもキツネも、きっと人間に生まれかわれるだろう。
 なにしろ自分の大切な食べ物を、人間にごちそうしようとしたからね。
 それは、とても素晴らしい事だよ。
 でもウサギは、もっと素晴らしい。
 自分をすててまで、人間に食べさせようとしたのだからね。
 ウサギをお月さまの国で、いつまでも幸せにしてあげよう」
 神さまにだきかかえられて、ウサギは空高くのぼっていきました。

 

その時からウサギは、お月さまの中で楽しく暮らしているという事です。

※ インドにも、同じようなお話しがあります。


◯月の中のウサギ

ジャータカ物語

むかしむかし、ウサギには、三匹の友だちがいました。
 サルと、山イヌと、カワウソです。

 

 ある日の事、ウサギはふと、明日が精進日(しょうじんび)である事に気がつきました。
 精進日というのは仏さまの教えを守って身を清め、困っている人にほどこしをする日の事です。
「明日、困っている人が来たら、せいいっぱい助けてあげよう」  みんなはウサギの意見に賛成して、家に帰りました。

 

 次の日の朝、カワウソは食ベ物を探しに、ガンジス川の岸までおりていきました。
 ちょうどその時、一人の漁師が七匹のコイをつかまえて草の中にかくし、もっと下の方へと出かけていったあとでした。
「おや? この魚は、誰の物だい? 持っていくよ」
 カワウソは三ベんよんでみましたが、返事がありません。  そこでだまって、もらってくる事にしました。

 

 山イヌも、食ベ物を探しに行きました。
 山道を進んでいると、畑の番人の小屋から肉や牛乳のにおいが流れてきます。
「おや? この食ベ物は、誰の物だい? 持っていくよ」
 山イヌは三ベんよんでみましたが、誰も現れません。
 そこでやっぱり、もらっていく事にしました。

 

 サルも森へ行って、マンゴーの実をたくさん集めてきました。
 ところがウサギは、何も見つける事が出来ませんでした。
 貧乏なので、家にはゴマも米も、何もありません。
「どうしよう? せっかくの精進日なのに。・・・そうだ、もし誰かが食ベ物をもらいにきたら、わたしはその人に自分の肉をあげよう」

 

 さて、このウサギたちの事を知った天上に住む神さまは、みんなの心をためしてやろうと思いました。
 そこで神さまはお坊さんに姿を変えて、まずカワウソの家にやってきました。
 するとカワウソは、
「さあ、お坊さま。今日は精進日です。どんどんめしあがってください」
と、コイ料理を進めました。
 次に訪ねた山イヌの家では、畑の番人のところからとってきた肉や牛乳を出されました。
 そして次に訪ねたサルの家では、マンゴーと冷たい水を出されました。  そして最後にウサギの家に行くと、ウサギはお坊さんに言いました。
「今日は、精進日です。  ほどこしをしたくて、あちこちかけ回ったのですが、ごちそうは手に入りませんでした。
 そこで今日は、わたしを召し上がってください。  けれど、お坊さまであるあなたがわたしを殺してしまえば、いましめを破ることになります。
 そこですみませんが、火をおこしてください。  そうしたら、わたしは自分で火の中に飛び込みましょう。  焼けた頃に取り出して、召し上がってください」
 神さまが火をおこすと、ウサギは火の中へ飛び込みました。
 ところが火の中へ身を投げたというのに、ウサギはやけど一つしません。
「あれ? おかしいな」
 不思議がるウサギに、神さまが言いました。
「信仰心(しんこうしん)のあつい、かしこいウサギよ。お前の徳(とく→よい行い)が、のちの世の人にかたりつがれるよう、記念をしておこう」
 神さまはそう言って大きな山をつぶし、そのしぼった汁で月の表面にウサギをえがきました。

  

 その時から、月にはウサギの姿が浮かぶようになったという事です。

 

 ※日本にも、同じようなお話しがあります。


◯カチカチ山

 

 むかしむかし、おじいさんの家の裏山に、一匹のタヌキが住んでいました。
 タヌキは悪いタヌキで、おじいさんが畑で働いていますと、
「やーい、ヨボヨボじじい。ヨボヨボじじい」
 と、悪口を言って、夜になるとおじいさんの畑からイモを盗んでいくのです。
 おじいさんはタヌキのいたずらにがまん出来なくなり、畑にワナをしかけてタヌキを捕まえました。
 そしてタヌキを家の天井につるすと、
「ばあさんや、こいつは性悪ダヌキだから、決してなわをほどいてはいけないよ」
と、言って、 そのまま畑仕事に出かけたのです。
 おじいさんがいなくなると、タヌキは人の良いおばあさんに言いました。
「おばあさん、わたしは反省しています。  もう悪い事はしません。  つぐないに、おばあさんの肩をもんであげましょう」
「そんな事を言って、逃げるつもりなんだろう?」
「いえいえ。では、タヌキ秘伝(ひでん)のまんじゅうを作ってあげましょう」
「秘伝のまんじゅう?」
「はい。  とってもおいしいですし、一口食べれば十年は長生き出来るのです。  きっと、おじいさんが喜びますよ。
 もちろん作りおわったら、また天井につるしてもかまいません」
「そうかい。おじいさんが長生き出来るのかい」
 おばあさんはタヌキに言われるまま、しばっていたなわをほどいてしまいました。
 そのとたん、タヌキはおばあさんにおそいかかって、そばにあった棒(ぼう)でおばあさんを殴り殺したのです。
「ははーん、バカなババアめ。タヌキを信じるなんて」
 タヌキはそう言って、裏山に逃げて行きました。

 

 しばらくして帰ってきたおじいさんは、倒れているおばあさんを見てビックリ。
「ばあさん! ばあさん! ・・・ああっ、なんて事だ」
  おじいさんがオイオイと泣いていますと、心やさしいウサギがやって来ました。
「おじいさん、どうしたのです?」
「タヌキが、タヌキのやつが、ばあさんをこんなにして、逃げてしまったんだ」
「ああ、あの悪いタヌキですね。おじいさん、わたしがおばあさんのかたきをとってあげます」
 ウサギはタヌキをやっつける方法を考えると、タヌキをしばかりに誘いました。
「タヌキくん。山へしばかりに行かないかい?」
「それはいいな。よし、行こう」
 さて、そのしばかりの帰り道、ウサギは火打ち石で『カチカチ』と、タヌキの背負っているしばに火を付けました。
「おや? ウサギさん、今の『カチカチ』と言う音はなんだい?」
「ああ、この山はカチカチ山さ。だからカチカチというのさ」
「ふーん」
 しばらくすると、タヌキの背負っているしばが、『ボウボウ』と燃え始めました。
「おや? ウサギさん、この『ボウボウ』と言う音はなんだい?」
「ああ、この山はボウボウ山さ、だからボウボウというのさ」
「ふーん」
 そのうちに、タヌキの背負ったしばは大きく燃え出しました。
「なんだか、あついな。・・・あつい、あつい、助けてくれー!」
 タヌキは背中に、大やけどをおいました。

 

 次の日、ウサギはとうがらしをねって作った塗り薬を持って、タヌキの所へ行きました。
「タヌキくん、やけどの薬を持ってきたよ」
「薬とはありがたい。  まったく、カチカチ山はひどい山だな。  さあウサギさん、背中が痛くてたまらないんだ。  はやくぬっておくれ」
「いいよ。背中を出してくれ」
 ウサギはタヌキの背中のやけどに、とうがらしの塗り薬をぬりました。
「うわーっ! 痛い、痛い! この薬はとっても痛いよー!」
「がまんしなよ。よく効く薬は、痛いもんだ」
 そう言ってウサギは、もっとぬりつけました。
「うぎゃーーーーっ!」
 タヌキは痛さのあまり、気絶してしまいました。

 

 さて、数日するとタヌキの背中が治ったので、ウサギはタヌキを釣りに誘いました。
「タヌキくん。舟をつくったから、海へ釣りに行こう」
「それはいいな。よし、行こう」
 海に行きますと、二せきの舟がありました。
「タヌキくん、きみは茶色いから、こっちの舟だよ」
 そう言ってウサギは、木でつくった舟に乗りました。
 そしてタヌキは、泥でつくった茶色い舟に乗りました。
 二せきの船は、どんどんと沖へ行きました。
「タヌキくん、どうだい? その舟の乗り心地は?」 「うん、いいよ。ウサギさん、舟をつくってくれてありがとう。・・・あれ、なんだか水がしみこんできたぞ」
 泥で出来た舟が、だんだん水に溶けてきたのです。

 

 「うわーっ、助けてくれ! 船が溶けていくよー!」
 大あわてのタヌキに、ウサギが言いました。
「ざまあみろ、おばあさんを殺したバツだ」
 やがてタヌキの泥舟は全部溶けてしまい、タヌキはそのまま海の底に沈んでしまいました。


◯小ウサギのしょうばい

コスタリカの昔話
 

 むかしむかしの、ある秋の事。  小ウサギが五十リットルのトウモロコシと、五十リットルのマメを取り入れました。  ずるがしこい小ウサギは、これでうんともうけてやろうと思いました。  小ウサギは朝早くムギわらボウシをかぶり、新しい上着を着て出かけました。  まずアブラムシの家に行って、トントンと戸を叩きました。  アブラムシはちょうど、コーヒーマメをひいていましたが、 「まあ、まあ、どなたかしら?」 と、言いながら戸を開けました。 「ああら、小ウサギさんじゃないの。どうぞ、お入りになって」  小ウサギは中に入って、イスに腰かけながら言いました。 「あなたに、わたしが取り入れた五十リットルのトウモロコシと、五十リットルのマメを安く売ってあげようかと思いましてね。  たったの五コロン(→日本円では百円ほどですが、現地ではフランスパンが10本以上買えます)で、いいんですよ」 「少し、考えさせてくださいな」 と、アブラムシは答えました。 「いやいや、それはこまります。  すぐ、決めてください。  あなたが買わないなら、誰かほかの人に話します。  もし買おうと言うのでしたら、土曜日の朝早く、わたしのところへ来てください」 「では、買う事にしましょう。  土曜日の朝七時頃に、荷車を持って品物をいただきにまいりますわ。  今、コーヒーをいれますから、召し上がっていってくださいな」  小ウサギは商売の話を決めた上に、コーヒーとケーキをごちそうになってアブラムシの家を出ました。

  

 そして今度は、メンドリの家に行きました。 「メンドリさん。  実は、わたしがこの秋取り入れた五十リットルのトウモロコシと、五十リットルのマメをあなたに安く売ってあげようと思いましてね。  たったの、五コロンでいいんですよ」  メンドリは五コロンならたしかに安いと思いましたので、土曜日の朝八時頃に荷車を持って品物を取りに行くと約束しました。  小ウサギは、ここでも商売の話がうまくまとまった上に、おみやげに出来たてのチーズをもらいました。

 

 それから今度は、キツネの家に行きました。 「キツネさん。  わたしがこの秋取り入れた五十リットルのトウモロコシと、五十リットルのマメを安く売ろうと思っているんですよ。  五コロンでいいんですが、買いませんか?」  キツネも、この申し出を喜んで受けました。  そして土曜日の朝九時頃、品物を取りに行くと約束しました。  小ウサギはここでも、たくさんごちそうになりました。

 

 それから、オオカミのところへ行きました。  ここでも今までと同じように、トウモロコシとマメをうまく売りつけました。  オオカミは土曜日の十時頃、品物を取りに行くと約束しました。

 

 最後に小ウサギは狩人(かりゅうど)のところへ行って、同じように商売の話をうまく取り決めました。  狩人には、十一時頃来てくれるように言いました。

 

 いよいよ、土曜日になりました。  まだお日さまがのぼらないうちに、アブラムシが荷車を持ってやって来ました。 「トウモロコシもマメも家の後ろにありますから、荷車はそこへおいてらっしゃい。それがすんだら、ひと休みしていってください」 と、小ウサギは言いました。  アブラムシは言われた通りに、荷車を裏へ持って行きました。  それから家の中へ入って来て、約束の五コロンを小ウサギに渡しました。  それから小ウサギにすすめられるままに、長イスに腰をおろしてのんびりと葉まきタバコをふかしはじめました。  二人はしばらくの間、何やかやと話をしていましたが、突然小ウサギが叫びました。 「あっ、大変だ! メンドリがこっちへやって来ますよ」  とたんにアブラムシはまっ青になって、ブルブルとふるえ出しました。 「見つかったら、食べられてしまうわ。どこかへ、隠してちょうだい!」  そこで小ウサギは、アブラムシをだんろの中に隠してやりました。

 

 そこへメンドリが、ニコニコしながらやって来ました。 「小ウサギさん。ちょうど時間通りよ」  小ウサギは納屋(なや)にトウモロコシとマメがあるから、そこへ荷車を置いて来てひと休みするようにと言いました。  メンドリは言われた通りにしてから、小ウサギに五コロンを渡しました。  それから長イスに腰かけて葉まきタバコをふかしながら、しばらくの間二人で話をしていました。  すると突然、小ウサギが叫びました。 「あっ、大変だ! キツネがこっちへやって来ますよ」  とたんにメンドリは顔色を変えて、ブルブルとふるえ出しました。  それを見て、小ウサギは、 「そのだんろの中に、隠れていらっしゃい。そうすりゃ、見つかりっこありませんから」 と、言って、アブラムシの隠れているだんろの中へメンドリを押し込みました。  だんろの中に入ったメンドリは、そこにいたアブラムシをひとのみにしてしまいました。

 

 小ウサギは外へ出て行って、キツネを迎えました。  荷車はそばの原っぱヘ置いて、まずひと休みするように家の中へ迎え入れました。  キツネが約束の五コロンを渡すと、小ウサギはキツネに向かってしきりにだんろの方を目くばせして見せました。 「おや、だんろに何かあるのかい?」  キツネは、だんろの中をのぞいて見ました。  かわいそうにメンドリは、あっという間にキツネに食い殺されてしまいました。

 

 お腹が大きくなったキツネが気持よさそうに葉まきタバコをふかしていると、小ウサギが叫びました。 「大変だ! オオカミが来ますよ。はやく隠れなさい!」  キツネはあわてて、小ウサギに押されるままにだんろの中にもぐり込みました。  オオカミは荷車をいけがきのところへ置いてから、五コロンを小ウサギに渡しました。  小ウサギはオオカミに向かって、だんろの方を目くばせして見せました。 「おや、だんろに何かあるのかい?」  オオカミは、だんろの中をのぞき込みました。  だんろの中で震えていたキツネは、たちまちオオカミに食べられてしまいました。  キツネを食べたオオカミがいい気持で葉まきタバコをふかしていると、ふいに小ウサギが叫びました。 「大変だ! 狩人が鉄炮を持ってやって来ますよ」  それを聞くと、オオカミはビックリ。 「きっと、おれを撃ちに来たにちがいない。どこか隠れるところはないか?」  小ウサギはオオカミを、だんろの中へ押し込みました。

 

 そこへ、狩人がやって来ました。  小ウサギは、あいそよく、 「よく来てくださいました。まあ、ひと休みして、葉まきタバコでもふかしてください」 と、言って、家の中へさそい入れました。  それから小ウサギは、声を低くして、 「あなたは、オオカミの奴がおきらいでしょう。  だんろの中を狙って、ズドンと一発撃ってごらんなさい。  そうすりゃ、オオカミの奴をやっつけられますよ」 と、ささやきました。  狩人はすぐさま、  ズドン! ズドン! と、鉄炮を撃ちました。  すると撃ち殺されたオオカミが、だんろから転がり出ました。  それから狩人は小ウサギと一緒におもてへ出ていって、トウモロコシとマメの袋をウマにつみました。  そして小ウサギに五コロンを払って、帰って行きました。

 

 こうして狩人だけが、小ウサギのトウモロコシとマメを買った事になりました。  悪知恵を働かせた小ウサギは、五十リットルのトウモロコシとマメで、二十五コロンをもうけ、おまけに四台の荷車も手に入れました。


◯ウサギの尻

アメリカの昔話

 むかしむかし、ウサギがオオカミに言いました。 「これから一緒に、バターをつくってみないか?」 「いいね。よし、一緒にバターをつくろう」  それでさっそく、ウシたちからたくさんのミルクをもらって来ました。  そしてそれをツボに入れ、グルグルかき回して固めると、バターの出来上がりです。 「さあ、さっそくこれを食べてみよう」  ウサギがそう言うと、オオカミが首を横に振りました。 「いやいや、これは寒い冬が来て食べ物が少なくなる時まで、大事にしまっておこう」  そこでバターをいっぱい入れたツボを、森の中に埋めておく事にしました。 「こうしておいて、きみもぼくも冬になるまで、森の中のこの道は通らないという約束をしておこう」 「うん、そうしよう」  ウサギとオオカミは、約束しました。  ところが食いしん坊のウサギは、そのバターを食べてみたくてたまりません。 「ああ、冬まで待ちきれないなあ。  バターが食べたいなー。  ・・・そうだ、オオカミくんにはないしょで、ほんのちょっぴりなめてみよう」  それで自分だけ、そっと森の中へ入って行ってツボを掘り出し、中のバターを少し食べました。  さあ、そのバターのおいしい事。

 

 次の日になると、また食べたくなったので、 「もう、ちょっぴりだけ」 と、また森へ入って行きました。  そしてウサギが大急ぎで森の中から駆け出して来るところを、オオカミが見つけたのです。 「ウサギくん。森の道は、通らないという約束だよ」 「ああ、その、それがね。  実は、森の向こうにいる姉さんが、可愛い男の赤ん坊を生んだという知らせを聞いたので、早く見に行きたくて、ついあの道を通ったのさ」 「ふーん。それならいいけど」

 

 ところが次の日もまた、オオカミは森の道を駆けて行くウサギを見かけましたので、 「ウサギくん。今日も約束を破ったね」 「ああ、ごめんごめん。お姉さんがね、今度は可愛い女の子を生んだというので、見に行ったのさ」 「ふーん。それならいいけど」

 

 そして二日たってまた、森から出て来たウサギをオオカミは見つけました。 「おいおい、また約束を破ったな!」 「あっ、ごめん、お姉さんがね、可愛い三番目の赤ん坊を生んだのを見に行ったのさ」 「毎日毎日、赤ん坊が生まれるものか。本当は、あのバターを食べに行っていたんだろう」 「ウソじゃないよ。本当に赤ん坊が生まれたんだ」 「よしそれなら、これから一緒に森の中へ調べに行こう」  オオカミはそう言って、ウサギを森へ引っ張って行きました。  そして埋めてあったバターのツボを掘り出して、ふたを開けようとしたので、ウサギはあわてて、 「あいたた! お腹がいたくなった!」 と、言って、パタパタ逃げて行きました。  オオカミがふたを取ってみますと、ツボの中はすっかり空っぽになっていました。 「やっぱりだ! あのうそつきウサギめ!」  怒ったオオカミは、ウサギを追いかけました。  その時です。 「ああ、たすけてーぇ!」 と、叫ぶ声がします。  オオカミが声のする方へ行きますと、草むらの中でウサギがバタバタと暴れていました。  あんまりあわてて逃げたので、うっかり人間が作ったワナにかかってしまったのです。  ワナに足をはさまれたウサギは、一生懸命叫びました。 「助けておくれよ! オオカミくん!」 「いや、きみの様なウソつきは、もうぼくの友だちじゃないよ」 「ああ、どうか許しておくれ。もう二度とあんな事はしないから」 「本当だね」 「本当だとも」  ウサギが泣いて謝ったので、オオカミはウサギをワナから助けてやりました。  でもこの時、尻尾だけがワナに切られてしまったのです。

  

 その時からウサギの尻尾は、今の様に短くなったのです。


◯ウサギとキツネ

 

 ウサギが、キツネに聞きました。 「きみは本当にお金もうけがうまいのかい? それから、きみの事をちゃっかり屋だっていう人がいるけれど、どうしてなの?」  すると、キツネは、 「家へくればわかるよ。おいで、ごちそうしてあげよう」  ウサギは、キツネについていきました。  ところがキツネの家には、ごちそうは何もありません。  キツネはウサギを、食べるつもりだったのです。  ウサギは、言いました。 「分かったのが、ぼくにとっては運の尽きだね。でも、とにかく分かったよ。きみはお金持ちだからではなくて、ずるい事をするから、ちゃっかり屋と言われるんだ」

 

  好奇心旺盛(こうきしんおうせい)なのは良い事ですが、見境いもなしに首を突っ込むと、とんでもない目に会う事が多いものです。


◯お月さまのお使い

  高知県の民話

 むかしむかし、ある山の上で、ウサギの兄弟が歌を歌いながら餅をついていました。

♪ウサギのもちつき ぺったんこ ♪ぺたぺたぺたぺた ぺったんこ ♪おいしいもちが つけたなら ♪お月さまに あげたいな  するとそれを聞いたサルが、よだれをこぼしながら考えました。 (なんて、うまそうな餅だろう。どうにかして、あの餅を手に入れる方法はないかな?)  そこでサルは、偉そうに胸を張ってウサギたちの前に出て行き、 「これ、そこのウサギたち。  わたしは、お月さまのお使いじゃ。  さっき、そのお餅をお月さまにあげたいと申しておったが、わたしがそのお餅をお月さまに届けてやろう」 と、言いました。  するとウサギの兄弟は、 「そいつは、ありがたい」 「ぜひ、お月さまに届けてください」 と、大喜びで一生懸命に餅をつきました。  ところがあんまりつきすぎたため、餅がうすにくっついてしまい、どうやっても離れないのです。  それを見て、サルが言いました。 「早くしないと、お月さまに届けてやらないぞ」 「はい。ただいま」  ウサギの兄弟はあわててうすから餅を引っ張り出そうとしますが、餅はなかなか離れません。  イライラしたサルは、ウサギの兄弟に言いました。 「ええい、仕方がない。  それではうすごと、お月さまにお餅を届けてやろう。  背負うから、それをわたしの背中に乗せてくれ」 「はい」 「それでは」  ウサギの兄弟がサルの背中にうすを乗せると、サルはとたんに走り出して、赤い舌をペロリと出しながら言いました。 「えっへへ、うまくいったぞ。  ばかなウサギめ、こんな所にお月さまの使いがいるはずないのに。  さあ、あとでゆっくり食べよ」  サルは小声で言ったのですが、ウサギは耳が大きいので、その小声が聞こえたのです。 「なんだって! よくもだましたな!」 「こら、待てえ! このうそつきザルめ!」  怒ったウサギの兄弟は、サルを追いかけました。 「ふん、だれが待つもんか!」  サルは重いうすを担いで、必死に走っていきました。  でも、ウサギは足が早い動物なので、やがてサルに追いついて言いました。 「サルさん、サルさん。 そ んなに走ったら転んでしまい、せっかくのお餅が泥だらけになってしまうよ」 「そうだよ。  もう怒っていないから、走るのをやめなよ。  お餅を、半分こにしてあげるからさ」 「えっ? 本当に、半分くれるのかい?」 「ああ、やるとも」 「約束するよ」  それを聞いてサルはほっとして、足を止めてうすを地面に降ろしました。  そのとたん、ウサギの兄弟はサルのお尻を思いっきり蹴飛ばしました。 「このうそつきザルめ!」 「だれがお前なんかに、お餅をあげるものか!」  するとサルは山道をコロコロ転がっていき、お尻をすりむいて、お尻がまっ赤になっていしまったのです。

 

 それからです、サルのお尻が赤くなったのは。


◯ウサギたちとライオン

  イソップ童話

 動物たちの集会で、いつも他の動物にいじめられているウサギが、 「弱い者も強い者も、誰もが平等であるべきだ!」 と、熱弁しました。  他のウサギたちはそれに感動して、大きな拍手を送りましたが、それを聞いていたライオンがいいました。 「おい、ウサギどもよ。なかなかに、良い事を言うじゃないか。正直、立派だと思うぞ。だが、その素晴らしい言葉には、爪とキバが足りないな。俺たちの様な爪とキバが」

 

 立派な発言も、それを実行する力がなければ意味がありません。


◯ウサギとカメの、その後のお話し

新潟県の民話

 むかしむかし、ウサギとカメがかけ比べをしました。  足のはやいウサギが勝つのに決まっているのですが、油断したウサギはつい昼寝をしてしまって、カメに負けてしまったのです。  これは日本にも世界にも伝わる、とても有名な昔話ですが、これはそれからのお話しです。

  

 さて、カメに負けたウサギが、しょんぼりとウサギ村に帰ると、ウサギ村のみんなはかんかんに怒って言いました。 「カメに負けるようなウサギは、ウサギじゃない。お前なんか、出て行け!」 「そ、そんな・・・」  こうしてカメに負けたウサギはウサギ村から少し離れた山で、しょんぼりと一人ぼっちで暮らし始めたのです。

  

 それから何日かたったある日の事、カメに負けたウサギは、小鳥たちが木の上でこんな話をしているのを聞きました。 「ねえねえ、ウサギ村は、とても大変な事になっているそうだよ。  なんでもオオカミに、子ウサギを三匹差し出せと言われたらしいんだ。  ウサギ村の親ウサギたちは、悲しくて泣いているそうだよ」  カメに負けたウサギはそれを聞くと、 「これは、神さまがくれたチャンスだ!」 と、喜んで、大急ぎでウサギ村にかけて行きました。  そしてウサギ村のみんなに、大声で言いました。 「みんな! おれがオオカミをやっつけてやるよ。だからもしうまくいったら、またここでくらしてもいいかい?」  すると、親ウサギたちが言いました。 「本当かい! そうしてくれたら、喜んで仲間に入れてあげるよ」 「よし、約束だよ」  カメに負けたウサギは張り切って、オオカミの住んでいる崖(がけ)へ出かけて行きました。  そしてオオカミを見つけると、カメに負けたウサギはオオカミに頭を下げました。 「やあやあ、オオカミさま。  今すぐここへ、子ウサギ三匹連れて来ますよ。  ですが子ウサギは、オオカミさまのお顔が怖くて近よれないと泣いて困らせるのです。  どうか連れて来るまで、崖のすみっこで谷の方を向いて待っててくれませんか?」 「そうか、ではそうしてやるから、早く連れて来い」  オオカミは言われた通り崖のすみっこに座ると、谷の方を向きました。 (よしよし)  カメに負けたウサギは、そーっとオオカミの背中に近づくと、 「えいっ!」 と、力いっぱいオオカミを突き飛ばしました。 「うわぁー!」  突き落とされたオオカミは叫び声をあげながら谷底へ落ちていき、二度と帰っては来ませんでした。 「やったー! オオカミをやっつけたぞ! これで村に帰れる!」  カメに負けたウサギは大喜びでウサギ村に帰り、それからは仲間たちといつまでも楽しく暮しました。


◯ウサギとカエル

 

 ある日、ウサギたちが集まって話し合っているうちに、みんな、ひどく悲しくなってしまいました。  なぜなら、ウサギはいつもビクビクして暮らしているからです。 「本当に、ぼくらは人間にも、イヌにも、ワシにも狙われてるし、ほかにも、ぼくらをエサにしようとしている動物はいっぱいいるから、怖いなあ。  毎日こんなに恐ろしい思いをするくらいなら、どうだろう、いっそ、ひと思いに死んでしまうほうが、ましじゃあないか」  ウサギたちはこう考えて、みんなで池に飛び込んで死ぬ事に決めました。  そこでウサギたちは、いっせいに池を目指して走っていきました。  ところが、その池のほとりにはたくさんのカエルがいて、ウサギたちの足音を聞いたとたんに、あわてて水に飛び込んで逃げました。  それを見て、ウサギの中の一番かしこい一匹がみんなに言いました。 「おーい、みんな待ちたまえ。自殺はやめよう。ごらんの通り、ぼくたちよりも、もっと弱虫で、ビクビクしている奴がいる事がわかったからね」

  

このお話しは、不幸せな人は自分よりも不幸せな人を見ると、安心するものだという事を教えています。


◯兎と太郎

岩手県
 

 まだうさぎの目が赤くなく、尻尾も長かった頃の話。

太郎と父親が住む家の近くの林に、ずるがしこいうさぎが住んでいた。ある日、父は山に仕事に出かけ、太郎に夕飯を作っておくようにといいつけた。
 夕飯が出来上がるころ、鍋の晩をする太郎のもとへやってきたうさぎ。「ちょっと味見させて」といいつつ、鍋の中身を全部平らげてしまった。その夜は仕方なく水だけで過ごす父子。
次の日。同じように言いつけられた太郎が鍋の晩をしていると、またうさぎがやってきた。「お前の親父が山で倒れている」と教えられ、あわてて山に行く太郎。それはもちろんうそで、鍋はまたしても空になっていた。
 次の日。またしても夕飯時にやってくるうさぎ。だまされまいとする太郎に「不老不死の妙薬」をあげるから、これをおやじに飲ませろという。そのために鍋はカラにしないとな、というが早いか、うさぎはまたごはんを食べてしまった。
 山から戻った父に、太郎はうさぎからもらった「不老不死の妙薬」を椀についで渡す。それはなんと、うさぎの小便だった。顔を真っ赤にしておこる父。「ぶっきり鉈持って来い!」と太郎にいい、うさぎの住む林へ向かう。ただならぬ気配を感じたうさぎは逃走。追いかける父。スタミナがきれたのは父親のほうだった。
 それに気づいたうさぎは、背後を振り返り父親をおちょくった。ブチギレる父。鉈を投げる。しかしうさぎには当たらす、近くの木に当たる。「ヘタクソ〜」とさらにおちょくるうさぎだったが木にあたった鉈が跳ね返り、うさぎの尻尾をズバッと切断。
 「いってえ〜〜〜!」とあまりの痛さに悶絶するうさぎ。泣きながら野を駆けずり回る。このことから、うさぎの尻尾は短くなり泣きすぎて目は赤くなり、四足歩行しかできなくなったそうな。


◯果報者と阿呆者

山口県
 

 欲が人間を阿呆にするという話

昔あるところに、貧しいが仲の良い夫婦が住んでいました。旦那は山で木を切り、女房は家で機を織って暮らしていました。
ある晩、旅のお坊さんがやってきて一晩泊まっていきました。旅のお坊さんは二人に感謝し、翌朝「あなたたちには福相が現れている、そのうちいい事がありますよ。果報は寝て待て、じゃ」とお告げになりました。
それを聞いた旦那は「果報が来るまで寝て待つぞ」と言って、それから3年もの間寝て暮らしました。しかし、いくら寝ていてもちっとも果報はやってきませんでした。
そんなある満月の晩に、寝転んでいた旦那が女房を呼びました。天窓から月の兎が餅をついている姿がよく見えると言うのです。それが村中に伝わり、ついには「月うさぎが餅をつく姿を拝むと果報がやってくる」と噂になりました。やがて、遠くからも沢山の人が月うさぎが餅をつく姿を見に来るようになりました。
そして、見れた人々がお礼にお金やお供物を沢山おいて行ってくれるので夫婦はたちまち大金持ちになりました。夫婦は喜んで、もっとお金を稼ごうと古い家を取り壊し、大きな家を建て沢山の天窓を作りました。
しかし、どうしたわけか新しい天窓からはいくら月を見ても、兎の餅つきが全く見えないのです。そういうわけで、月うさぎの餅つきを見に来ていた人々もこなくなり、そのうち夫婦についての悪いうわさも流れ、誰も家に訪れる人もいなくなりました。
そんな時、あの時の旅のお坊さんが再び立ち寄りました。これまでの話を聞いたお坊さんは「果報に欲を起こさず、人間は真面目に働くことだ」と、諭されました。それからの旦那は、再び真面目に働くようになったそうです。


◯うさぎとくま

福井県
 

 昔あるところに、1匹のうさぎが住んでおった。このうさぎは怠け者で「どうしたら楽をして金儲けをし、たらふく食べられるか」、ということばかり考えておった。
そんなある日のこと、うさぎの目の前を1匹の熊が通りかかった。うさぎは熊の胆を取り出して、それを高く売ろうと考えた。
 そこでうさぎは熊を呼び止め、一緒にままごと遊びをしようと言った。熊も賛成した。そこで熊は小屋を作るために山へ木を取りに行った。うさぎは屋根に乗せるかやを刈ることになったが、かやを刈ることもせずに、じっと草むらで寝ておった。そして熊に「弱い自分ではかやを刈ることができない」と言って、熊にたくさんかやを取らせた。熊の取ってきたたくさんのかやを、積み上げ小屋を作ると、うさぎはここぞとばかりにかやに火をつけた。かやの中にいた熊はびっくりしたが、うさぎは助けることもしない。ようやく熊はかやの中から抜け出すことができたが、背中に大やけどをしてしまった。
 しばらくしてうさぎは、トウガラシに山芋を混ぜたものをつくり、化粧をし顔を変えて熊の所へ行った。やけどに苦しんでいる熊に会うと「自分はこの前のうさぎとは違う」と言い、「やけどによく効く薬を持っている」といって、トウガラシに山芋を混ぜたものを熊の背中に貼り付けた。熊は背中が燃えるように痛くて仕方がない。その間にうさぎはどこかへ行ってしまった。
  熊がうさぎに腹を立てて歩いていると、うさぎはまた顔を変えて寝転んで熊を待っていた。そして「自分は別のうさぎだ」といって、「まもなくここを鈴を鳴らして牛が通る。自分はそれを待っている。牛のふぐりは大変うまいので、それを取って一緒に食べないか」と誘った。そして熊に「おまえは体が大きいから、牛のふぐりを取ってくれ」と頼んだ。
こうしてうさぎと熊が待っていると、鈴を鳴らして牛がやって来た。熊は牛のふぐりをつかんだが、驚いた牛に蹴飛ばされて、遠くへ飛ばされてしまった。この時に熊の目は小さくなってしまった。
熊は地面に落ちると、そのまま動かなくなってしまった。これで熊の胆が取れる、とうさぎが喜びながら熊に近づくと熊は突然起き上がり、うさぎを捕まえた。そしてうさぎをこらしめるために、木の枝に耳を縛り付けて、三日三晩ぶらさげていた。そのためにうさぎの耳は長くなり、ずっと泣き続けていたため目はすっかり赤くなってしまった。そしてこの時から、うさぎは熊を見ると逃げ出すようになったということじゃ。


◯嘘吹き兎

石川県
 

 昔、ある所に、木村惣太夫(きむらそうだゆう)という男がいた。この男元は武士だったが、城勤めを辞めて、女房の両親の土地を切り開いて、家と畑を作って百姓仕事をすることにした。
 ある夜の事、惣太夫が寝ようとしていると、誰かがが戸をたたいた。「この辺りで嘘を言いふらして回っている者がいるという噂があるが、あんた知っとるか?」惣太夫が、そんな話は聞いていないと答えて戸を開けると、そこには誰もいなかった。
その声の主は それから毎夜毎夜現れ、昼間の百姓仕事で疲れている惣太夫は、さすがに睡眠不足になってしまった。
ある夜、惣太夫は家の外の物陰で隠れて様子をうかがっていた。すると森の方から何やら妙な者がやって来た。惣太夫はすかさずそいつ着物を掴み、刀を抜いて切りかかると、化け物は悲鳴を上げて逃げていった。惣太夫の足元には兎のしっぽがあった。
次の日、惣太夫は村の年寄りを訪ね、これまでのことを話した。年寄りは「近頃、兎が住みそうな木を切ったりはしなかったか」と聞いた。惣太夫は家を建てるために何本か切ったと答えると年寄りは「それよ、兎とて生き物じゃ。恨み重なりゃそんな仕打ちをせんとも限らん。早く森へ行って新しい巣を作ってやりなさい」と言った。
きっと、あの兎には子供でもいたのかと考えた惣太夫は、森へ行くと兎が出てきそうな場所に巣を作ってやった。 そして大きな石で刀を折り「百姓には刀はいらん」と言って刀を捨てた。それから、夜な夜な惣太夫を起こしに来る者はなくなった。


◯いなばの白うさぎ

 

 昔々、海の向こうに因幡(いなば)の国を望む淤岐ノ島(おきのしま)に、一匹の白うさぎが住んでいた。
この白うさぎ、柔らかい草がたくさんある因幡の国に渡ることが出来たら、どんなにかいいだろうといつも思っていた。
ある朝、白うさぎは海を眺めながら、どうにか因幡の国に渡るいい方法はないかと考えていた。すると、そこにサメどんが海から顔を出した。海にたくさんの仲間がいるサメどんを見て、白うさぎは何かをひらめき、こう言った。
「見たところ、サメどんの仲間の数もかなり多いな。どうだ、数の比べっこをしようじゃないか?」
 その方法とは、サメどんの仲間が因幡の国まで一列に並び、その上を白うさぎが跳んで数を数えるというのだ。翌朝、サメどんは仲間を集め、約束通り淤岐ノ島から因幡の国まで一列に並んだ。
もちろん、白うさぎは数比べなどする気など元より無く、これを口実にサメの背をつたって因幡の国に渡ろうとしていたのだ。そんな訳で、因幡の国が近づくと、白うさぎは得意になってこう言った。
「オイラの夢は、この因幡の国に渡ることだったんだ。それでお前さんたちを飛び石がわりにさせてもらった訳さ」
騙されたと知って怒ったサメどんは、仲間たちと一緒に白うさぎを襲い、皮を剥いでしまった。
毛皮を剥された白うさぎが、傷ついた体を休ませていると、そこに二人の旅人が通りかかった。旅人は、傷を治すには海水で体を洗い、風通しのよい岩の上で体を乾かせばよいと言う。白うさぎは言われた通りにしたが、塩が傷口にしみ、痛みはひどくなるばかりだった。
そこへ大きな袋を担いだ旅人がもう一人やって来た。この旅人は、まず川の真水で体を洗い、蒲(ガマ)の穂綿に包まって休むとよいと言った。白うさぎが言われた通りにすると、皮膚から白い毛が生えて、体は元通りになった。
白うさぎを助けたこの旅人は、なんと大国主(おおくにぬし)の神さまだったそうな。その後、白うさぎは因幡の国で幸せに暮らしたという。


◯うさぎ・亀・ふくろう

近畿地方
 

 昔ある所に足の速いのを自慢にしているうさぎがいた。しかしカメはそのことが気にくわず、うさぎを毛嫌いしていた。そこへカメの子分のふくろうがやって来て、何やらカメに入れ知恵をした。
ある日うさぎがいつものように野原を走っているとふくろうが「うさぎどんはたいそう足が速いそうだが、カメどんにはかなうまい。カメどんの足の速さは天下一じゃからな」と言った。それを聞いたうさぎはカメがオレより速いわけがない、駆け比べをしろと言ってきた。そこでうさぎとカメは駆け比べをし、うさぎはあっと言う間にゴールに着いた。
ところがどういうわけか、すぐ引き離したはずのカメがそこで汗をふいていた。驚いたうさぎはもう一度やろうと言って、今度は元来た道を駆け戻った。
するとまたまたカメがそこにいた。うさぎはどうしても負けたことが信じられず、何度も何度も行ったり来たりして駆け比べをしたが、何度やってもカメはうさぎより先にゴールに着いていた。うさぎは悔しくて悔しくてひとしきり泣き、とうとう泣き過ぎて目が真っ赤になってしまった。
うさぎはとぼとぼと帰っていったが、実はカメには双児の兄弟がいて、ひとりずつ反対のゴール地点にいただけだった。うさぎの悔しそう萎姿を見てカメとふくろうは大喜びだったが、そこへ神様がやって来て、うさぎを騙したカメとふくろうを 叱りつけた。
そして杖でカメの甲羅を強く叩き、カメの甲羅にはヒビが入ってしまった。そしてカメに悪い入れ知恵をしたふくろうは、お天道さまの下に置いておくわけにいかないと、夜しか目が見えないようにしてしまった。
うさぎの目が赤く、カメの甲羅にはヒビが入り、ふくろうが夜しか目が見えなくなったのはこういう話があったからだそうだ。


◯さかなの神様

高知県
 

 むかしむかし、四国は土佐の幡多(はた)の山奥に『とんべえ』という腕の良い猟師がおった。とんべえは毎日罠でたくさんの獲物を獲っており、そのせいで、 この辺では生き物がすっかり減ったと言われておった。じゃが、とんべえは「山の神様のバチがあたるぞ!」と村人に言われても相手にせんかったそうな
そんなある日のこと、遠い海の村から魚売がやってきた。そうして、とんべえが仕掛けた罠に兎がかかっているのを見つけた。その日、魚がさっぱり売れずくさくさしていた魚売は、罠にかかった兎と売れ残った赤鯛をこっそり取り替えてしもうた。
次の日の朝、びっくりしたのはとんべえじゃ。こんな山奥の罠に見たこともない赤い魚が三匹もかかっておったのじゃから。とんべえからその話を聞いて村中が大騒ぎになった。結局、これはとんべえが生き物を獲りすぎるので、山の神様のバチがあたったのじゃということになった。
「恐ろしい顔をした魚じゃ。山の神様はよっぽど怒っとるんじゃ。」「山の神様の怒りを鎮めるには、赤鯛様をお祭りするしかねえ……。」と、村人達は一晩中話し合った。とんべえは真っ青になってオロオロしておったそうな。
それから半月ほどして、あの魚売がまた山奥の村にやって来た。すると、神社が何やら賑やかじゃ。境内では村人達が赤鯛を担いで踊り、とんべえが一心不乱に太 鼓をたたいておるのじゃった。魚売が村人に尋ねると、赤鯛神社のお宮開きの祭りじゃという。さらに、この祭りが始まった経緯を聞き、魚売は驚いた。
今更、あの赤鯛は実は儂の魚で……と、真相をぶちまける訳にもいかず、魚売は脂汗を流して立ちつくしておった。そうして魚売は慌てて海の村へと帰っていったが、ふと「儂は、山の生き物のためには良い事をしたのかもしれん。」と思ったそうな。
魚売が思ったとおり、それから何年かして、この村の辺りでは、また山のあちこちで兎や生き物の姿を見かけるようになったということじゃ。


◯かわうそと狸と兎

滋賀県
 

 昔々ある山奥に、かわうそと狸とうさぎがいた。退屈していた三匹は、買い物帰りのばあさんを驚かしてやろうと思った。
道に倒れたふりをした狸に驚いたばあさんから、ゴザにつつまれた荷物を奪った。奪った荷物の中には、塩と豆が入っていた。そこで、三匹で山分けすることになり、かわうそは塩を取り、ウサギは豆を、狸はゴザを受け取った。
翌朝、三匹ともそれぞれが苦しそうにしていた。かわうそは一晩中、好きな塩を舐めながら水を大量に飲んだため、腹が膨れてしまった。うさぎも一晩中、豆を食い続けたため、口の中がブツブツと荒れてしまった。ゴザの上で寝ようとした狸は、滑るゴザの上では全く眠れず、睡眠不足だった。
 

 これに懲りて、三匹は二度とイタズラをしなくなった。

ウサギのキャラクター

【サンリオ】マイメロディ

ハローキティと肩を並べる人気のうさぎちゃん♪

【アニメ】バッグス・バニー

ワーナー・ブラザーズのアニメーション作品、ルーニー・テューンズに登場するウサギ。

【絵本】ミッフィー(ナインチェ・プラウス)

オランダのデザイナー、ディック・ブルーナが描いた絵本に主人公。日本ではミッフィーとして、知られていますが名前はナインチェ・プラウスと言うそうです。

【サンリオ】ウサハナ

夏が大好きな元気なうさぎの女の子。 ちょっぴりカーブした長い耳とつぶらな ブルーアイがチャームポイント?

【絵本】ピーターラビット

「ネザーランド ドワーフ」という種類のウサギがモデルになっているんですよ(・∀・)

【アニメ】ウサビッチ

収監された二羽のウサギと、その仲間たちが繰り広げる シチュエーション・コメディアニメより。

【絵本】サンダーバニー

ロドニー・アラン・グリーンブラットによって描かれ、大ヒットした絵本の中の主人公♪

【巨人軍マスコット】ジャビット

ジャイアンツのジャビット君♪ 顔がYとGがモチーフになってるって知ってました!?

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