酉のお話し

◯舌切りすずめ

むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
 心のやさしいおじいさんは、一羽のスズメを飼っていました。
 ある日、スズメがおばあさんがつくったノリを、ツンツンと突いて食ベてしまったのです。
「このいたずらスズメ!」
 怒ったおばあさんはスズメをつかまえると、なんとハサミ でスズメの舌を切ってしまいました。
 チュッ、チュッ、チュッ!
 スズメは泣きながら、やぶの中へ逃げていきました。  間もなくおじいさんが仕事から帰ってきましたが、スズメの姿が見えません。 「おばあさん、わしのスズメはどこにいったかの?」
「ふん! あのいたずらスズメ。わたしのノリを食べてしまったから、舌をハサミで切ってやったわ」
「なんと、かわいそうに・・・」
 心のやさしいおじいさんは、舌を切られたスズメの事が心配でなりません。
「大丈夫だろうか? ごはんはちゃんと、食べているだろうか? ・・・よし、探しにいこう」
 おじいさんはスズメの逃げたやぶに、スズメを探しに行きました。
「おーい、おーい。スズメやスズメ。舌切りスズメは、どこにいる?」
 するとやぶのかげから、チュンチュンとスズメの鳴く声がします。
「おじいさん、ここですよ。スズメの家はここですよ」
 やぶの中から、スズメたちが大勢現れました。  見ると、舌を切られたスズメもいます。
「おおっ、すまなかったな。どれ、舌は大丈夫か? ・・・ ああっ、よかった。これなら大丈夫だ」
 スズメの舌を見て、おじいさんはホッとしました。
「ありがとう、おじいさん。さあさあ、わたしたちの家で休んでいってくださいな」
 スズメたちは、みんなでおじいさんをスズメの家へ連れて行きました。
 そしてみんなでスズメ踊りをしたり、おいしいごちそうをたくさん出してくれました。  おじいさんは、大喜びです。
「それでは暗くならないうちに、おいとまをしよう。スズメさんたち、ありがとう」
 おじいさんがお礼をいって帰ろうとすると、スズメたちは 大きなつづら(→衣服などを入れるカゴ)と小さなつ づらを持ってきました。


◯美しい鳥コンテスト

むかしむかしのお話しです。
 ある日、神さまは一番美しい鳥を決める『美しい鳥コンテスト』をしようと思いつきました。
 そして、一番美しい鳥には、鳥の王さまの位を与えようと言いました。  それを聞いた鳥たちは大騒ぎ。
「やっぱり、クジャクさんが一番綺麗だよ」
「あら、スタイルが良いのは白鳥さんよ」
「いや、鳥はやっぱり歌声が綺麗でなくちゃね。ウグイスさんが選ばれるかもしれないね」
 みんな、わいわい言いながら、美しくなろうと一所懸命に川で羽を洗いました。
 でもカラスだけが、その仲間に入りませんでした。  カラスは、全然面白くありませんでした。
 自分があまり格好良くなくて、羽の色も歌声も綺麗じゃない事を知っていたからです。
  しょんぼり川べりを飛んでいると、みんなの抜け落ちた羽がいっぱい散らばっているのを見つけました。
「・・・そうだ、こいつでみんなを騙してやれ」
 カラスは色とりどりの羽を拾い集め、全部自分の体にくっつけて飾り立てました。
 いよいよ、コンテストが始まりました。  神さまは、あのカラスに目を止めました。
「おや、あんなに美しくて珍しい鳥がいたのか。よし、あの鳥を一番にしよう」
 カラスは大喜びで、神さまの前に進み出ました。  すると、一羽の鳥が怒り出しました。
「ずるいぞ、カラスめ! わたしの羽を返せ!」
 そう言ってカラスに飛びつき、くちばしで自分の羽を引き抜きました。
 他の鳥たちもいっせいに腹を立て、カラスから自分の羽をむしり取りました。
 するとカラスは、前よりもみすぼらしい汚い姿になりました。
 人の物を借りていくらうわべを飾っても、すぐにばれてしまいます。
 そして、それがばれるとよけいみじめになってしまう。
と、いうお話しでした。


◯ニワトリのおなら

むかしむかし、ある家に、一羽のニワトリがいました。
 ある日のこと。  ニワトリが庭の木にとまってないていると、その下をキツネが一ぴき通りました。
 キツネはニワトリを見ると、何とか取って食いたいと思い、
「ニワトリさん、とてもいい声ですね。でも、もっと下で鳴けば、もっといい声が出ますよ」
 キツネの言葉に、ニワトリは下の枝に飛び移ってなきました。
 するとキツネは、 「ニワトリさん、前よりもずいぶんいい声になりました。でも、もう一つ下がらないと」
 ニワトリはよろこんで、もう一つ下の枝にとまってなきました。
 ところが、そこはキツネの頭のすぐ上だったので、ニワトリはたちまちキツネにつかまってしまいました。
「ヒッヒヒヒ。バカなニワトリさん。では、いただきまーす」
 大きな口をあけるキツネに、ニワトリはあわてていいました。
「まっ、待ってください、キツネさん。じつは、おらの家でも、今夜おらを食うといっていたから、おら、たたかう武器として、針を一本ぬすんでおいたんだ。しっぽのところに隠してあるから、おらを 食うんだったら、その針をぬいてからのほうがいいよ」
「そうか、それはごしんせつに」
 キツネはさっそく、しっぽのまわりをさがしてみました。
 すると、ニワトリはキツネの顔めがけて、「ブッ!」と、おならをあびせました。
「わあっ!」  キツネがビックリして手をはなしたすきに、ニワトリは木の上に逃げてしまいました。


◯カラスと水差し

イソップ童話
 のどがカラカラに乾いたカラスが水差しを見つけ、喜んで水差しに向かいました。
 しかし水差しには、水が少ししか入っておらず、カラスのくちばしでは、とても水面まで届きません。
 それでもカラスはあきらめる事なく、あらゆる方法を試しました。  しかし、その努力のかいもなく、全てが失敗に終わりました。
 でも、カラスはまだあきらめません。
「考えろ、考えろ、あきらめては駄目だ。きっと何か良い方法が。  ・・・あっ、そうだ!」
 ある名案を思いついたカラスは、集められるだけの石を集めると、それを一つ一つくちばしで水差しの中へ落としていきました。
 すると水差しの水位は、石を入れた分だけ増えて行き、ついにカラスのくちばしまで届いたのです。
 最後まであきらめずに頑張ったカラスは、こうして命を長らえる事が出来たのでした。
 「必要は発明の母」と言います。
  どんなに難しい事も、あきらめずに頑張れば、必ず成功します。


◯キジも鳴かずば、撃たれまいに

長野県の民話
むかしむかし、犀川(さいがわ)のほとりに、小さな村がありました。
 この村では毎年、秋の雨の季節になると犀川がはんらんして多くの死人が出るため、村人たちは大変困っていました。
 さてこの村には、弥平(やへい)という父親と、お千代(おちよ)という小さい娘が住んでいました。
 お千代の母親は、この前の大雨に流されて死んでしまいました。
 二人の暮らしはとても貧しかったのですが、それでも父と子は毎日仲良く幸せに暮らしていました。
 そしてまた、今年も雨の季節がやってきました。
 そのころ、お千代は重い病気にかかっていましたが、弥平は貧乏だったので医者を呼んでやることも出来ません。
「お千代、早く元気になれよ。さあ、アワのかゆでも食って元気を出せよ」
 弥平がお千代に食べさせようとしても、お千代は首を横に振るばかりです。
「ううん、わたし、もう、かゆはいらねえ。わたし、あずきまんまが、食べたい」
 あずきまんまとは赤飯の事で、お千代の母親が生きていたころに、たった一度だけ食べた事があるごちそうです。
 ですが今の弥平には、あずきどころか米の一粒もありません。
 弥平は寝ているお千代の顔をジッと見つめていましたが、やがて決心すると立ちあがりました。
「地主(じぬし)さまの倉(くら)になら、米もあずきもあるはずだ」
 こうして弥平は可愛いお千代のために、生まれてはじめて泥棒をしたのです。
 地主の倉から一すくいの米とあずきを盗んだ弥平は、お千代にあずきまんまを食べさせてやりました。
「さあ、お千代、あずきまんまじゃ」
「ありがとう。おとう、あずきまんまは、おいしいなあ」
「おお、そうかそうか。いっぱい食べて、元気になるんじゃぞ」
 こうして食べさせたあずきまんまのおかげか、お千代の病気はだんだんとよくなり、やがて起きられるようになりました。
 さて、地主の家では米とあずきが盗まれた事に、すぐに気がつきました。
 お金持ちの地主にとっては犬のエサほどの量で、たいした物ではありませんでしたが、一応、役人へ届けました。
 やがて元気になったお千代は家の外に出ていくと楽しそうに歌いながら、マリつきをはじめました。
♪トントントン
♪おらんちじゃ、おいしいまんま食べたでな
♪あずきの入った、あずきまんまを
♪トントントン
 お千代の歌を、近くの畑にいた百姓(ひゃくしょう)が聞いていました。 「変じゃなあ、弥平の家は貧乏で、あずきまんまを食べられるはずがないのだが。・・・まあ、いいか」
 そのとき百姓は、大して気にもとめませんでした。
 やがてまた大雨が降り出して、犀川の水は今にもあふれださんばかりになりました。
「このままじゃ、また村は流されてしまうぞ」
 村人たちは、村長の家に集まって相談しました。  すると、村人の一人が言いました。
「人柱を立てたら、どうじゃろう?」
 人柱とは、災害などで苦しんでいる人々が生きた人間をそのまま土の中にうめて、神さまに無事をお願いするという、むかしの恐ろしい習慣です。
 その生きながらに土の中にうめられるのは、たいていが何か悪い事をした人だったそうです。
「そういえば、この村にも悪人がおったな」
と、言ったのは、お千代の手マリ歌を聞いた百姓でした。
「なに? 悪人がおるじゃと? それは誰じゃ?」
「うむ。実はな」
 百姓はみんなに、自分の聞いた手マリ歌の事を話しました。

 その夜、弥平とお千代が食事をしていると、
 ドンドン! ドンドン!
 だれかが、戸をはげしくたたきます。
「弥平! 弥平はおるか!」
「へい、どなたで?」
「弥平、おぬしは先日、地主さまの倉から米とあずきを盗んだであろう。娘が歌った手マリ歌が証拠(しょ うこ)じゃ」
 お千代はハッとして、弥平の顔を見ました。
「おとう!」
 泣き出すお千代に、弥平はやさしく言いました。
「おとうは、すぐに帰ってくるから、心配せずに待っていなさい」
「おとう! おとう!」
 泣き叫ぶお千代を残して弥平は村人に連れて行かれ、そしてそのまま帰っては来ませんでした。
 犀川の大水を防ぐために、人柱として生きたままうめられてしまったのです。
「しかし、たった一すくいの米とあずきを盗んだだけで、人柱とはな」
と、同情(どうじょう)する村人もいましたが、下手な事を言うと今度は自分が人柱にされるかもしれません。
 そういう時代だったのです。

 さて、村人からお父さんが人柱にされた事を聞いたお千代は、声をかぎりに泣きました。
「おとう! おとう! おらが歌を歌ったばかりに」
 お千代は何日も何日も、泣き続けました。
 やがてある日、お千代は泣くのをやめると、それからは一言も口をきかなくなってしまいました。
 何年かたち、お千代は大きくなりましたが、やっぱり口をききません。
 村人たちはお父さんが殺されたショックで、口がきけなくなったと思いました。
 ある年の事、一人の猟師(りょうし)がキジを撃ちに山へ入りました。  そしてキジの鳴き声を聞きつけて、鉄砲の引き金を引きました。
 ズドーン!
 見事に仕留めたキジを探しに、猟師は草むらをかきわけていってハッと足をとめました。
 撃たれたキジを抱いて、お千代が立っていたのです。  お千代は死んでしまったキジに向かって、悲しそうに言いました。
「キジよ、お前も鳴かなければ、撃たれないですんだものを」
「お千代、おめえ、口がきけたのか?」
 お千代は猟師には何も答えず、冷たくなったキジを抱いたまま、どこかに行ってしまいました。
 それから、お千代の姿を見た者はいません。
「キジよ、お前も鳴かずば撃たれまいに」
 お千代の残した最後の一言が、いつまでも村人のあいだに 語りつたえられ、それからその土地では人柱という恐ろしい事は行われなくなったという事です。


◯ワシの真似をしたカラス

イソップ童話
むかしむかし、一羽のワシが狩りをしていました。
 ワシは高い岩の上から、さーっと舞い降りたかと思うと、子ヒツジを鋭い爪でがっちりと掴み、あっという間に連れ去ってしまいました。
「かっこいいなぁ」
 そのワシの様子を、一羽のカラスがうっとり見ていました。
「ぼくもあんな風に狩りをするんだ。せこせこと木の実を突くなんて、もう止めた」
 カラスはさっそく、ワシの真似をしました。
 翼を広げ、ビュッと大きな羽の音を立てて獲物を狙いました。
「どうせなら、ワシが捕まえたのより大きなヒツジを捕まえてやろう。あんな風にガシッと深く爪を立ててれば、ヒツジなんか軽いもんさ」
 カラスはヒツジの群の中で、一番よく太っているヒツジの背中に飛びつきました。
 しかしヒツジは重すぎて、カラスにはとても持ち上げられません。
「仕方がない、子ヒツジで我慢するか」  カラスは、飛び上がろうとしました。
 でも、いくら力一杯羽ばたいても、爪がヒツジの巻き毛にからまって、動く事が出来ません。
 バタバタともがいているうちに、とうとうカラスはヒツジ飼いの男に捕まってしまい羽を切られてしまいました。
 さっそくヒツジ飼いの子どもたちが、この様子を見に集まって来ました。
 一人の子どもが、尋ねました。 「お父さん、この鳥は何ていう鳥なの?」  するとヒツジ飼いは、笑いながら答えました。
「お父さんは、こいつはどう見てもカラスだと思うんだ。でもこいつは、自分の事をワシだと思っているみたいだね」
 実力もないのに人の真似をしようとしても、決して簡単にはうまくいきません。
 そればかりか、このカラスの様に、みんなに笑われてしまうと言うお話しでした。


◯とり年生まれ

吉四六(きっちょむ)さん むかしむかし、あるところに、吉四六さんという、ゆかいな人がいました。
 吉四六さんの村の庄屋さんは、たくさんのニワトリを飼っていますが、ニワトリを放し飼いにするので村人たちはすっかり困っていました。
「また、庄屋さんとこのニワトリが、家の野菜畑を荒らしたぞ」
「こっちは、ほしもみが食われてしまった」
 そこで村人たちが集まって、庄屋さんの所へ文句を言いに行ったのです。
「庄屋さん、ニワトリの放し飼いは止めて下され」
 すると庄屋さんは、平気な顔で、 「わしは、酉年(とりどし)生まれだから、ニワトリだけは大事に飼わなければならんのでな」
と、言って、放し飼いを止めようとしません。
 そんなある時、このニワトリが吉四六の野菜畑に入って、大根の葉をすっかり食い荒らしてしまいました。
「ああっ、家の大根が!」
 怒った吉四六さんは大きな草刈りがまを振り上げて、畑を荒らす十羽のニワトリを殺してしまいました。
 それを知ったおかみさんは、びっくりです。
「お前さん、大変な事をしてくれたねえ。庄屋さんに、何と言ってあやまりに行ったらいいんだい?」
「なあに、任せておけ。それより今夜は村の衆を呼んで、鳥料理のごちそうだ」
 吉四六さんは、平気な顔で言いました。

 さて次の朝、吉四六さんは大がまを振り上げて、庄屋さんの家に飛び込みました。
「もう、我慢ならねえ! 村の衆に代わって、庄屋さんの首をもらいに来た!」
「こら、吉四六! それは何の事だ!?」
「おめえさまを生かしておけば、村の衆の命が危ねえからだ」
「命が危ない? そら、一体どうして?」
「庄屋さんとこじゃ、ニワトリを放し飼いにしとるだろうが!」
「そ、そりゃ、わしが酉年の生まれだから、ニワトリを」
「それだ! だからおら、おめえさまの首を切りに来たんだ。村の衆の命が危ねえ」
 吉四六さんは、大がまを振り上げて言いました。
「ま、待ってくれ、吉四六。ニワトリの放し飼いが、何で村の衆の命に?」
「そら、庄屋さん、考えてもみなされ。  みんなが自分の生まれ年のけものを放し飼いにしたらどうなるか。  お前さまは酉年だからまだいいが、村の中にはトラ年生まれも、竜年生まれもいる。  トラや竜を放し飼いにしたら、村の衆の命はどうなる?!」
 吉四六さんは一段と高く、大がまを振り上げました。
「わかった、わかった。  放し飼いはやめるから!  いや、もう二度とニワトリは飼わないから!  だから、かまを下ろしてくれ!」
 庄屋さんは吉四六さんに、ぺこぺこと頭を下げて頼みました。
「そうか。村の衆の命が危ねえから、ニワトリ十羽の首はもらったが、庄屋さまの首は止めとするか」
 吉四六さんはそう言うと、振り上げた大がまを下ろして引きあげて行きました。


◯クジャクとカラス

イソップ童話
 鳥たちが王さまを選ぶ為に、相談していました。
 クジャクが、 「わたしは美しいから、王さまになるのが当然でしょう」 と、言いました。
 鳥たちは、 「なるほど。そうだな」 と、思って、クジャクを王さまにしようとしました。
 その時、カラスが叫びました。
「ちょっと待った! クジャクくん。あんたが王さまになった時に、ワシが襲いかかって来たら、あんたはどうやってわたしたちを守ってくれるのかね?」
「・・・。わたしは、美しいから」
「あんたの美しい羽が、ワシを追い返してくれるのか?」
「・・・」
 リーダーになる人は、表面的な美しさよりも、みんなの危険を予想出来る人がふさわしいと、このお話しは教えています。


◯腰折れスズメ

 むかしむかし、あるところに、心やさしいおばあさんと欲深いおばあさんがとなり合わせに住んでいました。
 ある朝、心やさしいおばあさんが、ほうきで庭をはいていますと、庭のすみの草むらでチイチイと悲しそうに鳴くスズメがいました。
「おおっ、可哀想に」
 心やさしいおばあさんがスズメを手のひらにそっとのせますと、なんとスズメの腰の骨が折れているではありませんか。
 おばあさんはそのスズメを家へ連れてかえり、一生懸命に看病しました。
 するとだんだん、スズメの傷は治っていきました。
 ある日の事、スズメが何か言いたそうにしています。
「どうしたんだい? ああ、元気になったので、お家に帰りたいんだね」
 おばあさんがスズメを庭先に出してやると、スズメは元気よく飛んでいってしまいました。 「よかったわ、あんなに元気になって。でも、あのスズメがいなくなると、なんだかさみしいね」
 それから何日かたったある朝、いつものようにおばあさんが庭をほうきではいていますと、なにやらなつかしい鳴き声が聞こえてきます。
「あれあれ、あんたはあの時のスズメかい? うれしいね、会いに来てくれたのかい」
 スズメはうれしそうに鳴くと、おばあさんの前に小さなタネを落として、そのまま飛んでいってしまいました。
 そのタネは、ひょうたんのタネです。  おばあさんはスズメにもらったひょうたんのタネを、庭にまきました。
 やがて秋になり、スズメのくれたひょうたんは立派に成長して、たくさんのひょうたんが実りました。
 そしてすっかり大きくなったひょうたんを取ってみると、なんだかすごく重たいのです。
「おや? どうしてこんなに重たいのかね? 何かが入っているような」
 おばあさんがそのひょうたんを割ってみますと、不思議な事に中にはお米がたくさんつまっているのです。
「あれまあ、不思議な事もあるものだね」
 おばあさんは、そのお米でご飯をたいてみました。  そのご飯の、おいしいこと。
 おばあさんはそのひょうたんのお米を近所の人にくばり、あまったお米を売ってお金持ちになりました。
 さあ、それをねたましく思ったのは、隣の欲深いおばあさんです。
 欲深いおばあさんは庭で遊んでいるスズメに石をぶつけてつかまえると、かわいそうにそのスズメの腰の骨をむりやり折ってしまいました。
 そしてその腰の折れたスズメをかごに入れると、そのスズメに毎日えさをやりました。
「さあ、はやく良くなって、わたしにひょうたんのタネを持ってくるんだよ」
 そして、一ヶ月ほどがたちました。 「もうそろそろ、いいだろう」
 欲深いおばあさんは、スズメを庭に連れ出すとこう言いました。
「今すぐ飛んでいって、米のなるひょうたんのタネを持ってくるんだよ。さもないと、お前をひねりつぶしてしまうからね」
 スズメのキズはまだ治っていませんが、こわくなったスズメは痛いのをガマンして、そのまま飛んでいきました。
 それから何日かたったある日の夕方、毎日庭先でスズメが帰ってくるのを待っている欲深いおばあさんの前に、あのスズメが現れました。
「やれやれ、やっときたね」
 欲深いおばあさんはスズメの落としていったひょうたんの タネを拾うと、それを庭にまきました。
 そのひょうたんのタネはどんどん大きくなって、秋には立派なひょうたんがたくさん実りました。
「よしよし、これでわたしも金持ちになれるよ」
 おばあさんが包丁を持ってきて、一番大きなひょうたんの実を割ってみました。
 すると中から出てきたのはお米ではなく、毒ヘビやムカデやハチだったのです。
「ひぇーーー!」
 他のひょうたんからも毒ヘビやムカデやハチなどがたくさん出てきて、欲深いおばあさんにおそいかかったという事です。


◯金のタマゴを産むニワトリ

イソップ童話
 あるところに、一羽のニワトリを飼っている貧しい男がいました。
 ある日の事、このニワトリが金のタマゴを一つ産みました。
 男はビックリして、叫びました。
「これはすごい!高く売れるぞ!」
 ニワトリは次の日も、金のタマゴを産みました。
 また次の日も、また次の日も、毎日一つずつの金のタマゴを産みました。
 おかげで貧しかった男は新しい家に住み、おいしい物を食べ、きれいな服を着る事が出来ました。
「おれもずいぶんお金持ちになった。  でも、おれよりも大きい家に住み、おれよりも高い服を着ている奴は大勢いる。  ニワトリがもっとたくさんのタマゴを産んでくれればいいのだが。  ・・・まてよ。
 あのニワトリの腹の中には、金の固まりがあるに違いない。  そうだ、それを取り出せば、おれはもっと金持ちになれるぞ」
 男はそう思って、すぐにニワトリのお腹を切り開きました。  でも、金の固まりなど出てきません。
 ニワトリは死んでしまい。男はすぐにお金がなくなって、また貧乏になってしまいました。
 このお話しは、欲張るのはほどほどにして、今、自分が持っている物で満足しないと、今持っている物も失う事になる事を教えています。


◯スズメになった若者

和歌山県の民話
 むかしむかし、あるところに、貧乏ですが正直者のおじいさんとおばあさんが住んでいました。
 ある日、おじいさんがいつものように山へたきぎを取りに行くと、どこからともなく、おいしそうなお酒のにおいがただよってきました。
(はて、不思議な事もあるものだ)
 おじいさんがにおいのする方へ歩いて行くと、竹やぶの前に出ました。
 すると、どうでしょう。
 竹やぶの中には竹で出来た酒だるがあって、スズメたちがそのまわりでチュンチュンと楽しそうにおどっているのです。
(これはこれは、なんて可愛いスズメたちだ)
 おじいさんがニコニコして見ていたら、一羽のスズメが飛んできて、
「さあ、おじいさんもお酒を飲んでください。このお酒を飲むと良い事が続いて、きっと幸せになりますよ。チュン、チュン」 と、言うのです。
 おじいさんはスズメたちのところに行って、そのお酒をごちそうになりました。
「うん、これはうまい」  こんなおいしいお酒は、今まで飲んだ事がありません。
 それに一口飲んだだけで心がウキウキし、体が元気になってくるのです。
 すっかりご機嫌になったおじいさんは、スズメたちと一緒になっておどりはじめました。
♪酒がうまいぞ、いい気持ち。
♪チュン、チュン、チュン
♪はあ、こりゃこりゃ
♪チュン、チュン、チュン
 おじいさんのかけ声にあわせて、スズメたちもおどります。
 もう楽しくて楽しくて、おじいさんは時間のたつのも忘れてしまうほどでした。
 やがて夕方になって、ようやくおどりが終わりました。
「いやあ、楽しかった。ありがとう」
 おじいさんはスズメたちにお礼を言って、帰っていきました。
 さて、おじいさんの家のとなりに、なまけ者の若者が住んでいました。
 おじいさんの話を聞くと若者もそのお酒が飲みたくなって、次の日、さっそく山へ出かけていきました。
 お酒のにおいのする方へと歩いていくと、おじいさんの言った通り竹やぶがあって、スズメたちがお酒を飲みながらおどっています。
 若者は、竹やぶに入っていくなり、 「おい、おれにもその酒を飲ませてくれ」 と、言いました。
 するとスズメたちは、首を振って言いました。
「このお酒を飲むととんでもない事になるから、やめたほうがいい。チュン、チュン」
「うるさい。はやくよこせ!」
 若者はいきなり酒だるをつかむと、一息にお酒を飲んでしまいました。
 すると、どうでしょう。  若者の体はみるみる小さくなっていき、口は口ばしに、手は羽に変わって、とうとうスズメになってしまったのです。
 スズメになった若者は竹やぶを追われて、チュンチュンと鳴きながらどこへともなく飛んでいきました。
 そしておじいさんの家ではスズメたちが言ったように良い事が続いて、やがて村一番のお金持ちになったという事です。


◯カラスと白鳥

イソップ童話
 カラスが白鳥を見て、その羽の色をうらやましがりました。
 あんなに白くなるのは、水で体を洗っているからだと思い、 いつもエサを拾っている神殿を離れて、池や川のそばに住む事にしました。

 ところが、いくら体を洗ってみても羽の色は変わらず、 それどころか神殿にいる時の様に食べ物が落ちていないため、とうとう飢えて死んでしまいました。

 暮らし方で、生まれつきの物は変わりません。


◯狐と鶏

高知県
ニワトリの頭に、立派なトサカがある理由
昔ある所に、ぐうたらな母狐と三匹の子狐がいました。腹が へったと訴える子狐にせかされて、母狐は仕方なく大きな袋を手にして食べ物を探しに出かけました。

山のふもとまで下りてくると、鶏の娘がお裁縫を習いに行く 所に出くわしました。母狐に追いかけられた鶏の娘は必死で木の上まで逃げましたが、母狐は木の周りをぐるぐる走り回り、それを見ていた鶏 は目を回してしまいました。母狐は、鶏の娘が木から落ちたところを捕まえ、持ってきた大きな袋に詰めました。

母狐は、山奥の家へ帰る途中、いつものぐうたら癖が出てつ いウトウトと眠り込んでしまいました。寝ている間、鶏の娘さんは裁縫道具からハサミを取り出し、こっそり袋から脱出しました。そして代わ りに大きな石を袋に詰めて、切り裂いたところを縫い合わせて、急いで逃げ出しました。

やがて目を覚ました母狐は、大きな石が入った袋を担いで家 に帰りました。母狐は、子狐たちに大釜で湯を沸かさせて、袋の中身を熱湯の中にぶちまけました。高い位置から投げ込んだので、勢いよく石 が釜に入り、熱湯が狐たちにかかってしまいました。

狐の口の周りは、ヤケドで今でも真っ黒になっています。さ て鶏の娘はというと、危険なときにも落ち着いて行動したことを神様からご褒美としてトサカをもらいました。それ以来、鶏の頭には美しいト サカが残るようになったそうです。


◯えびすさんと鶏

島根県
昔、出雲の美保関(みほのせき)の村は漁業で活気づいてい ました。それも「えびす様」のおかげだといって毎日漁師たちはお参りを欠かしませんでした。

ところが、ある日を境に魚が全く捕れなくなってしまい村は 寂れていきました。村に住む儀助(ぎすけ)じいさんは魚を捕ろうと夜明け前に揖屋(いや)の海に船を出しました。そこには揖屋の浜辺で美 しい姫神とえびすさんがいて、2人で遊んでいたのです。

えびすさんは一番鶏が鳴くと「夜になったらまた来る。」と いって慌てて船を漕いで村に戻り、いびきを掻いて眠ってしまいました。魚が捕れなくなったのは昼寝しているために漁師たちの願いが耳に 入っていないためだったのです。村人たちは困りましたが相手は神様なので諫めることが出来ません。

儀助じいさんは「夜起きて昼に寝てしまう」年寄り鶏を連れ て、真夜中に揖屋の浜に向かいました。鶏が鳴くとえびす様は驚いて村に向かいました。途中、「フカ」がえびすさんに襲いかかり着物を引き ちぎってしまいました。村に戻ったえびすさんは真夜中ということに気づき鶏に騙されたと怒りました。

翌朝、漁師一同がお参りしましたが「鶏を何とかしないと願 いは聞き入れない」と怒り心頭で願いを聞いてくれません。儀助じいさんは立ち上がって「これから鶏も飼わないし卵も食わん。だから姫神様 の所に行かないで海に魚を戻して欲しい」と訴えました。

それからえびすさんは出かけなくなり、海に魚が戻りまし た。美保関の村はそれ以来、鶏も飼わず、卵も食べなくなり、自由になった鶏たちはのびのびと暮らしたそうです。


◯にわとりのお告げ

山口県
昔、庭の鳥小屋でたくさんの鶏とひよこを飼っている、貞蔵 (さだぞう)さんという人がいた。

みんなが寝静まったある夜、一羽の鶏が突然けたたましく鳴 き出した。驚いて起きた貞蔵さんは、真っ青になった。というのも、このあたりでは、夜、時ならぬ時刻に鶏が鳴くと、良くないことが起こる と信じられていたからだ。そして、夜鳴きした鶏は川へ流してしまうというならわしがあった。

「可哀そうに、何も悪さはしていないのに・・・」貞蔵さん は仕方なく、鶏を藁袋につめ、顔だけ出して、川へと流すと、後も見ないで走って家へと戻った。流された鶏は、牛野谷の水越しに引っかかっ てしまい、そのまませき止められ、一夜を明かした。

ところで、その牛野谷の水越しから少し離れたところに、虎 吉(とらきち)さんという人が住んでいた。虎吉さんは不思議な夢をみていた。トントントン・・・。誰かが戸を叩くので出てみると、一羽の 鶏がそこにいて、虎吉さんにこんなことを言った。「私は土手町に住む貞蔵さんの手飼いの鶏じゃ。主人の家では、先祖の位牌が一枚鶏小屋の 上に転がっている。このままではばちが当たって、家は滅びてしまう。どうか私を連れて行って、主人にそう伝えてくださいませえ。私は今、 牛野谷の水越しに引っかかっていて、どうすることもできません。どうか手を貸して下さい。」そういうと、鶏は空高く飛んで行った。

「に、にわとりがしゃべった〜!」虎吉さんは飛び起きた。 「不思議な夢をみたもんじゃなあ」さっそく虎吉さんが牛野谷の水越しに行ってみると、本当に藁袋から顔を出した鶏が引っかかっていた。虎 吉さんは鶏を助け、貞蔵さんの家を訪ね、昨夜の夢の話をした。

貞蔵さんが鶏小屋の上を調べると、不思議なことに、ご先祖 の位牌が一枚、ほこりまみれで転がっていたのだ。「なんと不思議なことよのぅ」貞蔵さんの家では、先祖の位牌を集めて、お盆や正月におま つりしていたのだが、その中の一枚を、ネズミが鶏小屋の上へ運んだのだろう。「これで家が滅びずに済みましたよ」貞蔵さんは虎吉さんに沢 山のお礼をした。それからは貞蔵さんの家では、お告げをしたあの鶏をとても大事にしたそうだ。


◯神さまとカラス

岩手県
昔々、まだ神様が地上に住んでいたころのこと、あるところ に、たいそう悪戯好きなカラスが居ました。カラスは、狸の取った魚を横取りしたり、兎の掘った芋を盗んだり、猿を驚かして木から落とした りと毎日悪い事のし放題でした。

そのころは、みんな困った事があると神様に相談していまし た。神様のところに集まった動物は、次から次へと神様にカラスのひどい仕打ちを話し、神様に何とかして欲しいとお願いしました。神様は、 カラスを諭しましたが、カラスは「みんなが困るのを見るのがすきなんだ」といい、神様の髪とひげをみんな抜いてしまいました。

それから、しばらくたってのことです。どうした風の吹き回 しか、あの悪戯カラスが神様のところへやってきたのです。カラスは神様に「嫁をもらって、一緒に住む巣をかけようと思うのだが、今年の風 の具合を教えてくれ」と言いました。

神様は少し考えて「今年はあまり風が吹かない」と、あべこ べの事を言いました。カラスはそれを聞くと、神様に礼も言わず飛び出しました。そうして、嫁と一緒に一番高い木の一番てっぺんの所に巣を 作りました。

ところが、強い風が吹き始めました。カラスの巣は風に吹か れて揺れに揺れました。カラスにはただただ慌てながら巣の周りを飛び回ることしか出来ません。神様はこうでもしないと、カラスには人が困 ると言う気持ちが分からないだろうと考えたのです。

だから、今でもカラスは、風があれるまえになると、巣が壊 れるのを心配して梢の周りを無き騒ぐようになったということです。


◯カラスの行水

福井県
カラスの嫁さんは、風呂からあがるのが早い

昔ある所に、一人の貧乏な男がいました。

貧乏すぎで嫁をもらう事ができないので、今日も男はボヤキ ながら、あぜ道に寝転がっていました。日もとっぷりと暮れてきたので、男が家路についているとどこからかカランコロンと下駄の足音が聞こ えてきました。

やがて男の後ろから、若い女が小走りでかけてきました。そ して女は突然「オラを嫁さんにしてください」と、男に言いました。男はビックリしましたが、女とそのまま結婚し、二人仲よく新婚生活が始 まりました。

嫁になった女は、毎日の農作業も一生懸命に働きました。し かしこの嫁さんはたいへんな風呂ギライで、なかなか風呂に入りませんでした。男は、あんまり嫁が汚れたままなので、ついに「今日こそ風呂 に入れ」と怒鳴りました。嫁はしぶしぶ風呂に入りましたが、あっという間にキレイに洗って上がってきました。

男は、毎回あっと言う間に風呂からあがってくる嫁がとても 不思議でした。一度確かめてみようと、嫁の風呂をこっそり覗いてみると、なんと真っ黒いカラスがいました。男が驚いて声をあげると、嫁の カラスは「ワテにはワテの風呂の入り方があったのに、悲しいわぁ」といって、飛び去っていきました。

カラスはそれっきり戻ってくることはありませんでした。こ んな事があってから、風呂に入ってすぐあがってくる事を「カラスの行水」と言うようになりました。


◯鷹と大蛇

愛媛県
蛇の獲物を助けた男が、蛇に憑り殺されそうになる話

昔、伊予の山奥に、侍であった一人の男が住み着いておっ た。

ある日のこと、洞窟から綺麗な水が流れる深い谷で、男は鷹 と蛇の戦いを見た。大きな鷹が、今にも大蛇に飲まれようとしていた。男は、鷹の命を惜しいと思った。「放してやるわけにはいかぬか!」男 は手にした棒を構え、大蛇に問うた。大蛇は気合に押されて、がっちり咥えていた鷹を放した。鷹はよろよろ飛び去ったが、男は大蛇が吐いた 毒気をまともに浴びてしまった。

男は何とか自分の小屋へ戻ったが、高熱を出しそのまま一人 病みついた。そんなある夜、美しい旅の女がやって来た。女は、頼まれもしないのに男の看病を始めた。女は奇妙な赤い実を男に食わせ、かい がいしく世話をしたが、病は悪くなる一方だった。

何日かがたち、今度は一人の六部が男の小屋にやって来た。 六部は、この病は崖の松に住む鷹の卵を食べさせなければ治らないと女にせまった。女はしかたなく鷹の卵を取りに出かけた。女が松の木の下 に立つと、その姿はいつかの大蛇へ変わり、ずるずると松の木を登っていった。

大蛇が鷹の巣から卵を取ろうとした時、岩山の向こうから朝 日が昇り、その強い明るい光が大蛇を釘付けにした。朝日は岩の上で男を抱きかかえる六部の上にも降り注いだ。すると六部も、いつかの鷹に 姿を変え岩山から飛び立った。

大蛇は計略にはまった。攻撃を繰り返す鷹に対し、大蛇は卵 が喉につかえて毒気を吐くことができなかった。激しい戦いはやがて終わり、谷底へ向かって大蛇の屍骸がゆっくりと落ちていった。男の体か らは毒気が抜け、鷹の恩返しによって命を救われた。

だが、男の心は晴れなかった。「鷹と蛇と、どちらが生き残 るのかは人間が決めることではなかった」男は自分を殺そうとした蛇を真心込めて葬った。そうして、ここに人間が入ってはならぬのだと悟っ た男は、いづこかへ立ち去ったということじゃ。


◯鶴の恩返し

鳥取県
助けられた鶴が美しい布を織って、お爺さんに恩返しするお 話

お爺さんが山で柴刈りをした帰りに、沼の近くで猟師の罠に かかって苦しんでいる鶴を見つけ、罠をはずしてやった。

するとその夜、旅の途中で道に迷ったと言ってかわいい娘が やって来た。お爺さんとお婆さんは困っている娘を家に入れてあたたかいお粥を食べさせた。娘はこれからどこにも行く宛がないというので、 それならわしらと一緒に暮らそうと言うことになり、娘はお爺さんお婆さんの家で暮らすことになった。

翌朝、娘は糸を持って機織り部屋に入り、しばらくするとと ても美しい布を織って出てきた。お爺さんはこれを町で高い値段で売ってお米や味噌を買うことができた。その晩もその次の晩も娘は布を織 り、お爺さんは町へ売りに行った。

娘は機を織る間は覗かないでくれというが、日増しに娘がや つれていくので、おじいさんとおばあさんは心配してついに機織りしている娘を覗いてしまう。するとそこには一羽の鶴が自分の体から羽を抜 いて布に織り込んでいた。

娘は二人に気がつくと、命を助けていただいた恩返しに来ま したが、もうお別れですと言い、空へ飛び立っていった。 


◯鶴の子観音

栃木県
栃木に日照りの夏も水枯れの冬もこんこんと水が溢れて村の 田畑を潤す池がありました。季節かまわず雪の中でも睡蓮が咲き、ほとりの黒松の大木にはどこからともなく一羽の鶴が舞い降りて子育てする とても不思議な池でした。

村人達はそこを観音様の池として大事にするという戒めを何 百年も代々受け継いで守っていて、夏に水遊びに興じる子供たちも決して池を汚す粗相をする者などいないのでした。

ところがある冬の晩、4人の若者が肝試しの羽目を外して池の鶴の卵を盗んで しまいました。卵を小屋で煮ていると、吹雪とともに知らない老人が戸口に現れて4人の名前を呼び、赤子の頃からお前達を知っていると言いました。そして、お前 達のせいでもう村には緑も花も無くなる、先祖の苦心も水の泡だ、と言い残すと雪に足跡も残さずに消えてしまいました。

怯えた若者達があわてて巣に戻した卵を、鶴が何事も無かっ たかのように温め続けるのを前にして、奪ってしまった命や観音様に詫びる気持ちを込めて4人は交代で水ごりを始めました。極寒の池の中で命の 瀬戸際まで水ごりを続けること百か日目、祈りが通じたのか、なんと茹でたはずの卵から鶴のヒナが孵りました。

こうして春を無事に迎える事ができ、若者から話を聞いた村 人は池のほとりのお堂を改めて建て直し、鶴の子観音として末長くあがめたという事です。


◯桃太郎

岡山県
川に洗濯にでかけたおばあさんは、川上から流れてきた桃を 家に持ち帰ります。

その桃を食べようと切ると中から元気な男の子が出てきまし た。おばあさんはその子に桃から生まれた桃太郎と名付けます。

桃太郎はすくすくと育ち、りっぱな青年になりました。ある 日、鬼に金品を奪われ、困り果てる村人を見て、桃太郎は鬼退治に行くと言い出しました。

おばあさんとおじいさんは反対しますが、桃太郎の熱意につ いに折れ、きびだんごを作って送り出しました。

途中、犬・猿・雉に、鬼退治を手伝うかわりにきびだんごを 欲しいといわれ、桃太郎は快くきびだんごをあげました。こうして、1人と3匹は鬼ヶ島に行き、村人たちの金品を取り戻したのでした。


◯白鳥の関

和歌山県
昔、紀伊の国の雄の山峠という所に「紀の関」と呼ばれる関 所があり、その近くに一人の男が住んでいました。この男は優しいところもある一面で、たいへん気まぐれでもありました。

ある日、男は傷ついていた一羽の白鳥を助けてやりました。 するとその夜、男の夢に助けた白鳥が現れ「お礼がしたいので何でも望みを言って下さい」と告げました。男が「可愛くて優しい嫁さんが欲し い」と言うと、数日後、美しい旅の女が現れ、そのまま男の嫁となりました。

働き者で男を大切にしてくれる良い嫁だったので、男は最初 は喜んでいましたが、だんだんと傲慢な態度をとるようになりました。嫁は、男のDVにじっと耐えていましたが、その頃に村で流行っていた弓矢が欲しくてたまら なかった男は大声で叫びました。「白鳥さん、もう嫁はいらないから弓矢をくれ」

それを聞いた嫁は、しくしく泣いていましたが、いつの間に かいなくなりそのかわりに立派な弓矢が置いてありました。男は大喜びで、弓矢を持って毎日狩りに出かけましたが、結局一羽の山鳥も仕留め る事はできませんでした。

男は再び「白鳥さん、弓矢はもういらないから、白鳥が欲し い」と頼みました。すると、弓矢はたちまち白鳥に姿を変え、男を恨めしそうに見つめてパッと飛び去っていきました。男は大慌てで追いか け、紀の関の通り抜けようとすると、嫁が関守(関の門番)の姿で出てきました。

嫁は「もうお前の好きなようにはさせない」と言い、白鳥に 姿を変えました。嫁や弓矢は、あの時助けた白鳥だったのです。男は驚いて逃げ出しましたが、二度と男の姿を見る事はありませんでした。そ れからは、この関の事を「白鳥の関」と呼ぶようになりました。

トリのキャラクター

◯チョコボ

『ファイナルファンタジー』通称FFのIIから登場したマスコット的キャラクター。
元となったのは『チョコボール』のキョロちゃんで、チョコボのチョコボールという商品も出たことがあるみたい

◯キョロちゃん

金のエンゼル銀のエンゼルで有名なお菓子『チョコボール』のマスコットキャラ。
銀はそこそこでるが、金は存在を疑うレベル。
昔はクチバシの黄色が濃いのが当たりやすかったらしいが今は関係ないらしい。 1999年にアニメ化もされた。見た目通り飛べない

◯ペンペン

『エヴァンゲリオン』の新種の温泉ペンギン。正式名称は「BX293A PEN2」
酒が飲めて、温泉や風呂が大好き。新聞なども読め、知能は高い模様。
綾波レイと同じ声優さんである

◯カルー

『ONE PIECE』に登場するアラバスタ王国最速の動物「超カルガモ」の部隊隊長で子供の頃からのビビのお供。
アニメでサンジの声優と同じ人である。

◯火の鳥

手塚治虫による様々な時代の人間たちの苦悩と運命を描いた漫画作品『火の鳥』の不死鳥。
元々は天上界で飼われていたが、人間界に降り立つことになり、その血を飲めば、永遠の命を得ることができる。
『生きる?死ぬ?それがなんだというんだ  宇宙のなかに人生などいっさい無だ!ちっぽけなごみなのだ!』〜鳳凰編〜

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