虎のお話し

◯びょうぶのトラ

むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。  一休さんのとんちの評判を聞いて、殿さまがお城に一休さんを招き入れました。 「さっそくじゃが、そこにあるびょうぶのトラをしばりあげてくれぬか。  夜中にびょうぶから抜け出して悪い事ばかりするので、ほとほと困っておったのじゃ」
もちろん、ひょうぶに描かれた絵のトラが出てくるなんて、うそに決まっています。  しかし有名な絵描きが描いたのでしょうか、びょうぶに描かれたトラはキバをむいて、今にも襲いかかってきそうでした。 「本当に、すごいトラですね。  それでは、しばりあげてごらんにいれます。  なわを、用意してください」
「おおっ、やってくれるか」
「はい。もちろんですとも」
 一休さんはそう言うと、ねじりはちまきをして腕まくりをしました。 そして家来が持ってきたなわを受け取ると、一休さんは殿さまに頼みました。 「それでは、トラをびょうぶから追い出してください。  すぐに、しばってごらんにいれます」  それを聞いた殿さまは、思わず言いました。 「何を言うか! びょうぶに描かれたトラを、追い出せるわけがなかろうが」
 すると一休さんは、にっこり笑って言いました。 「それでは、びょうぶからはトラは出て来ないのですね。  それを聞いて、安心しました。  いくらわたしでも、出てこないトラをしばる事は出来ませんからね」
 それを聞いて、殿さまは思わず手を叩きました。 「あっぱれ! あっぱれなとんちじゃ! ほうびをつかわすから、また来るがよいぞ」
 こうして一休さんはたくさんのほうびをもらって、満足そうにお寺に帰りました。


◯トラ退治

韓国の昔話

むかしむかし、あるところに、トラ狩りの上手なおじいさんがいました。  このおじいさんに鉄砲(てっぽう)を向けられたら、どんなに強いトラもたちまち撃ち殺されてしまいます。  ですからトラ山のトラたちは、おじいさんの姿を見ると慌てて逃げ帰ってしまいました。 「やあ、今日は危ないところだった。もう少しであのじいさんに見つかるところだった」
と、トラのお父さんは冷や汗をふきながら、子どもに話しました。  おじいさんの腕前は、トラたちの間では誰一人知らないものはありません。  けれどもおじいさんは、もう年を取っていました。  それで鉄砲の打ち方を、息子に教えたいと思いました。  ところがこの息子は大変な怠け者で、まったく鉄砲を習おうとはしないのです。 「そんなもの覚えたってしようがない。山中のトラは、親父がみんな退治しちまうだろうから」 と、勝手な事を言っては、毎日毎日遊んでいました。 「・・・・・・」
 おじいさんはどうしようもなく、一人で山へ行ってはトラを打ち取っていました。  けれども息子のお嫁さんはとてもしっかりしているので、おじいさんはこのお嫁さんだけを頼りにしていました。

 ある日、おじいさんがポックリと死んでしまいました。  今度は息子が働かなければ、暮らしてはいけません。  そこで息子は仕方なしに、山へ木を切りに出かけました。  ある時、息子が山で木を切っていると、木のかげから大きなトラが現れました。  息子はビックリして、腰が抜けてしまいました。 「ト、ト、トラさま。ど、どうか、お、お助けを・・・」
 トラは、舌なめずりをして言いました。 「駄目だ。わしの家族はみんな、お前のじいさんに殺されてしまった。今度はこっちがお前を殺す番だ」 「ト、トラさま。待って下さい。召し上がるなら、明日の朝まで待って下さい。このたきぎを家へ置いてきますから。そうしないと、家の者が困るんです」
「・・・ふむ。それなら、明日の朝早く来い」
 トラは、ゆっくり立ち去りました。  息子は青い顔で家にたどり着くと、お嫁さんに山で何があったかを話しました。 「それで、どうするつもりなの?」
と、お嫁さんは尋ねました。  息子は、 「どうするって、夜が明けたら、約束通り殺されに行くしかないだろう」
と、言って、泣き出しました。  すると、お嫁さんはニッコリして言いました。 「そうね。では行ってらっしゃいな。お父さんがトラ退治を教えて下さると言っていたのに、なまけていたあなたが悪いんですもの」
 次の朝、息子はションボリとうなだれて、山へ登って行きました。  お父さんに鉄砲の打ち方ぐらい教わっておけばよかったと思っても、もうどうにもなりません。  おまけにお嫁さんまで、ニッコリ笑って送り出してくれたのです。  これではもう、死ぬよりほかはありません。

 息子はお昼近くに、やっと昨日の場所ヘ着きました。 「やい、遅いぞ!」
 トラが、キバをむいて怒鳴りました。 「は、はい、その、あの・・・」
と、息子がモグモグ言っていると、突然後ろの木の間から、 「せがれ、お前の前にあるのはたきぎか? それともトラか?」
と、言う声がしました。  ハッと振り向くと、木の間からトラ狩り名人のおじいさんが、鉄砲をこちらに向けて立っているではありませんか。  ビックリしたのは、トラの方です。  あわてて首をすくめると、息子に小声で言いました。 「『たきぎです』と、言え」
 息子は、言われた通り、 「たきぎです!」
と、大きな声で返事をしました。 「それなら、なぜさっさと束にしてしばらないんだ?」
と、おじいさんが尋ねました。  するとトラが、 「『一人じゃ、しばれません。あとでやります』と、言え」
「一人じゃ、しばれません。あとで・・・」
 息子が言いかけると、おじいさんは、 「一人で出来ないのなら、わしが手伝ってやる」
と、言いました。  トラは驚いて、 「じいさんを呼ぶな。お前一人でしばれ。その代わりあとでほどいてくれよ。お前を食うのは、やめにしてやるからな」
 そこで息子は、震えながらトラをしばり始めました。  するとおじいさんは、 「グルグル巻きに、しばったか?」
と、尋ねました。 「いいえ、一回きりです」
「たきぎなら、グルグル巻きにしろ」
「うん。五回しばったよ」
「まだだ、もっと、しばれ」
 息子は言われるままに、トラの体をグルグル巻きにしばりました。 「どうだ」
「十五回、しばったよ」
「よかろう」
 おじいさんは鉄砲を持ちかえると、木の間から出てきました。  そして近寄ってきて、息子の顔を見てニッコリ。 「・・・? あっ、あれっ、お前かあ」
 現れたのは、おじいさんの姿をした自分のお嫁さんだったのです。  しっかり者のお嫁さんのおかげで、だんなさんはトラを生け捕りにしたのです。


◯トラのあぶら

高知県の民話

むかしむかし、土佐の国(とさのくに→高知県)に是市(これいち)という、とんちの上手な若者が住んでいました。  ある日の事、隣村へ出かけた是市は、突然のにわか雨に降られて、すっかりずぶ濡れになってしまいました。  服がビショビショで、このままでは風邪をひいてしまいます。 「早く着物を乾かさないと、寒くてかなわんわ」
 しばらく歩くと一軒の家があり、中をのぞくと、おじいさんがいろりに火をたいていました。 「これはちょうどいい。ちょいと、火に当たらせてもらえないか」
「ああ、いいですよ」
 おじいさんが快く是市を家に入れてくれたので、是市はさっそくいろりの火に当たらせてもらったのですが、火が弱いので着物はなかなか乾きません。 (もう少し火を強くしたいが、服を乾かすのに火を強くしてくれと言うのは、ちょいとずうずうしいし)
 そこで是市は、おじいさんにこう言いました。、 「なあ、じいさん。おらの村では固い竹を食べるが、このあたりでも食べるのかね?」 「固い竹? タケノコではなく、固い竹が食べられるじゃと!? そりゃあ、初耳(はつみみ→はじめて聞いたこと)じゃ。ぜひとも食べ方を教えてくれ」
 すると是市は、 (しめしめ、引っかかったぞ)
と、ニヤリと笑うと、おじいさんに言いました。 「いいか。まずは竹を輪切りにしてナベに入れて、どんどん火をたいて竹をぐらぐらと煮込むんじゃ」
「よし。さっそく試してみよう」
 おじいさんは大きな竹を切って来ると、輪切りにしていろりのナベをかけました。 「駄目駄目、もっと火をたかないと。よし、おらも手伝ってやる」
 是市はいろりにまきをドンドン放り込んで、火を大きくしました。  そのおかげで着物は、たちまち乾いてしまいました。  外を見ると、雨はすっかり止んでいます。 「まだか。まだ食えんのか?」
 おじいさんは早く竹が食べたくて、うずうずしています。 「ああ、もう少しだ。ここでトラのあぶらを入れれば、すぐに食えるぞ。さあ、トラのあぶらを出してくれ」
 是市が言うと、おじいさんは不思議そうな顔で言いました。 「トラのあぶら? そんな物はないぞ」
「そうなのか? おらの村じゃあ、どこの家にも置いてあるんだが。困ったなあ。トラのあぶらがないと、竹は食えんからのう。残念、残念」
 是市はそう言うと、さっさと帰ってしまいました。


◯トラから坊さんを助けた山犬

インドの昔話

むかしむかし、一匹の悪いトラが、オリの罠にかかりました。 「助けてくれー! 外に出してくれー!」
 トラが騒いでいると、そこへ坊さんが通りかかりました。  トラは、やさしい声で坊さんにお願いしました。 「お坊さま。どうかわたしを、ここから出してください」
 すると坊さんは、首を振って言いました。 「駄目だよ。お前は外に出たら、また悪い事をするだろう?」
「とんでもない。わたしは心優しいトラです。それに、助けていただいたご恩は一生忘れません。わたしはあなたの召使いになって、一生お仕えします。ですから、お願いです!」
 トラが泣いて頼むので、坊さんはトラが可愛そうになりました。 「お前は、それほど悪い奴ではなさそうだな。・・・よし、そこから出してやろう。その代わり、二度と悪い事をするんじゃないよ」
 こうしてオリから出してもらったトラは、お腹をかかえて笑いました。 「ワハハハハハッ。バカな坊さんだ。トラの言葉を信じるなんて。わたしはお腹がペコペコなんだ。どれ、あんなをごちそうになろうかな」  坊さんは、ビックリして言いました。 「ま、待ってくれ。助けてやったわたしをこんな目に合わせる事が、良い事か悪い事か、みんなに聞いてみるから。その間だけ、わたしを食べないでいておくれ」  坊さんはそう言うと、すぐそばにあった大きなぼだいじゅの木に尋ねました。  ところが、ぼだいじゅの木は、 「わたしなんか、いつもそんな目に合っていますよ。疲れた旅人に木かげを貸してあげているのに、旅人はわたしの枝や葉をちぎってしまうのですから。良い事をしても、ひどい目に合うものです」
と、言って、トラの味方をしました。  ガッカリした坊さんは、今度は水牛に尋ねました。 「それはお気の毒に。でも、わたしをごらんなさい。みんなはわたしがミルクを出すうちは、喜んでたくさんのエサをくれますが、ところがミルクが出なくなったとたんに、ろくにエサをくれないのですよ。良い事をしても、ひどい目に合うものです」
 この水牛も、トラの味方です。  ガッカリした坊さんは、今度は地面の道に尋ねました。  すると道は、苦々しく言いました。 「良い事をしたからって、お返しを望むのは無理ですよ。わたしをご覧なさい。貧しい人でも、お金持ちでも、わたしは区別をせずに通してあげているのに、人がわたしにくれる物といったら、ゴミとか、つばとか、タバコの灰ぐらいのものですよ。良い事をしても、ひどい目に合うものです」
 道も、トラの味方です。 「ああ、もう駄目だ。誰もわたしの味方をしてくれない」
 坊さんは、悲しくなりました。  ちょうどその時、通りかかった山犬が不思議そうに尋ねました。 「お坊さん。どうしたのですか?」
「実は、わたしはもうすぐ、トラに食べられてしまうのだよ」
「へえ。どうして?」  坊さんは、山犬にわけを話して聞かせました。 「それは不思議な話だなあ。なんだか、さっぱりわからないや」
 山犬は、頭を傾げるばかりです。  そこで坊さんは、もう一度、話を聞かせてやりました。 「ああ、ますますわからないや。右の耳から話が入ると、左の耳から抜けてしまうよ」
 山犬は左耳を押さえると、坊さんに言いました。 「そうだ。そのトラのところに行ってみましょうよ。そうしたら、わけがわかるかもしれない」
 そこで坊さんと山犬が戻ってみると、トラはツメとキバをとぎながら、坊さんを待っていました。 「ずいぶんと遅いじゃないか。さあ、早く食わせろ!」
 坊さんは、ガタガタと震えながら頼みました。 「もうちょっとだけ待ってくれ。この山犬が、どうしても話がわからないって言っているんだ」
「馬鹿な山犬め。まあいい。ごちそうは目の前にあるんだしな」
 坊さんは、なるべく長生きをしたいので、山犬に細かいところまで残らず話してやりました。  すると山犬は、大げさに叫びました。 「そうか! わかったぞ! 何だ、こんなに簡単な事だったのか。つまりえーと、お坊さんがオリの中にいた。そこをトラが通りかかったんですね」
「馬鹿者! このわたしがオリの中にいたんだよ」
 トラは、あきれて言いました。 「ああ、そうでした。このわたしがオリにいたんだ。いや違う、このわたしっていうのは坊さんの事ですね。お坊さんがオリにいて、トラが外を通りかかったと」
「違う! わたしっていうのは、このわたしの事だ。分からず屋め、こうなったら、分かるまでとことん話してやるぞ」
「はい、お願いします」
「いいか、よく聞けよ。ここにいるわたしは、トラさまだ」
「はい、トラさま」
「これが、坊さんだ」
「はい、坊さん」
「そしてこれがオリ。このオリの中にいたのは、このトラさまだ」
「なるほど、トラさまの中にいたのは、このオリですね」
「このマヌケ! どうやったら、オリがわたしの中に入るのだ!」
「そ、そんなに怒らないでくださいよ。だいたい、最初の最初がどうなっていたか、わからないからいけないんですよ。えーと、トラさまはどうやって、このオリに入ったんですか?」
「どうやってだって? そうだなあ。何気なく入ったと思うよ」
「何気なくとは、どういう事ですか?」
 するとトラは、オリの中へ飛び込んで見せました。 「大馬鹿者め。何気なくとは、こういう事だ」
「なるほど。それで、オリにはこの様にカギが閉まっていたのですね」
 山犬はそう言うと、オリの戸のカギを閉めてしまいました。 「そうだ。この様にオリが閉まって、出られなく・・・。あっ、しまった! この山犬め! よくも引っかけたな!」
 こうしてトラは、おとぼけのうまい山犬に閉じ込められて、もう二度と外には出られませんでした。


◯トラが木登りの出来ない理由

沖縄県の民話

むかしむかし、中国武術の得意なトラが、沖縄の空手が強いと聞いて、沖縄にやって来ました。  トラは沖縄の町にやってくると、威張った態度で言いました。 「おれさまは、中国武術の達人だ。中国武術と空手、どちらが強いか勝負だ!」
「・・・・・・」
「どうした。おれさまの中国武術に、恐れをなしたのか?!」
「・・・・・・」
 沖縄の動物たちは、今まで見た事がない大きな体のトラを怖がって、誰も勝負をしようとはしません。 「誰も勝負をしないのなら、沖縄をおれさまの物にするぞ!」
 その時、一匹の小さなヤマネコが、トラの前に進み出ました。 「いいでしょう。わたしがお相手をしましょう」
 このヤマネコは、沖縄空手の先生です。  トラは自分の半分にもみたないヤマネコを見て、ゲラゲラと笑いました。 「がはははは。お前の様なチビ助が、勝負だと? よし、お前なんかひとひねりだ。アチョーー!」
 トラがヤマネコに飛びかかりましたが、何とヤマネコはトラの攻撃をヒラリとかわすと、体の大きなトラをコテンパンにやっつけてしまったのです。 「何だと? ・・・まだまだ、これからだ!」
 トラは再び勝負を挑みましたが、何度やってもヤマネコにはかないません。  負けを認めたトラは、ヤマネコに両手を合わせてお願いしました。 「先生! どうかわたしに、先生の沖縄空手を教えて下さい!」
「いいでしょう。修行はつらいですが、頑張るのですよ」
 こうしてトラはヤマネコに弟子入りを許されて、空手の修行を始めたのです。  空手を始めたトラは、もともと武術の才能があったので、見る見るうちに上達していきました。  一年が過ぎた今では、ヤマネコに次ぐ空手の名人です。  それを知ったヤマネコは、 (このままでは、トラはわたしよりも強くなるだろう。そうなればいつか、わたしを倒して沖縄を支配するかもしれない) と、思い、数多くある空手の必殺技の一つを教えなかったのです。  ある日の事、ヤマネコの悪い予感が的中して、トラがヤマネコに勝負を挑んできました。 「師匠。おれはお前よりも強くなった。今こそお前を倒して、沖縄を支配してやる!」
「よろしい。わたしはお前を全力で倒し、中国へ送り返してやります」
 トラとヤマネコの空手の腕前は互角でしたが、トラはもともと中国武術が使える分有利なので、次第にトラが優勢になりました。 (まずい、このままでは負けてしまう)
 そう思ったヤマネコは、トラには教えていない空手の必殺技を使いました。  それは、木登りです。  ヤマネコは身軽に木に登ると、木の上でトラを待ちかまえました。 「なんだ師匠、そんなところに逃げ込んで、もう降参か!」
 トラもヤマネコを追いかけて木に登ってきましたが、木登りを教えてもらっていないトラは、木にしがみつくだけで精一杯です。 「すきあり!」
 ヤマネコは木にしがみついて動けないトラをコテンパンにやっつけて、中国に追い返してしまいました。  そんなわけでトラは、中国武術も沖縄空手も使えるとても強い動物ですが、ヤマネコに木登りを教えてもらえなかったので、今でも木登りが下手なのだそうです。


◯トラより強いキツネ

中国の昔話

むかしむかし、キツネが散歩をしていると、ばったりとトラに出会ってしまいました。  トラはキツネを捕まえると、大きな口を開けてキツネを食べようとしました。 「ちょっと待って下さい。トラさん」
 キツネが、トラに言いました。 「あなたは自分だけが強くて、動物たちの王さまだと思っているのでしょう? でも、あなたはまだまだ、わたしにはかないませんよ」
「なに? お前がおれさまより強いもんか!」
「いいえ、わたしの方が強いですよ」
「うそだ!」
「うそだと思うなら、わたしと一緒に町を歩いてごらんなさいな。人間たちがわたしを見て、もし怖がらなかったら、その時はわたしを食べてもいいですよ」
「よし、それでは一緒に行ってやろう」
 そこでキツネはトラを連れて、にぎやかな町へ行きました。  すると町を歩いていた人間たちは、みんなキツネの後ろを歩いているトラが怖くて、我先にと逃げてしまいました。  そこでキツネは、いばって言いました。 「ねえ、人間たちはわたしを見て、逃げて行ったでしょう」
 するとトラは、 (キツネの言う事は本当だった。あの人間がこんなに恐れるとは、キツネはそうとう強い奴に違いない)
と、思い、キツネが怖くなって、尻尾をまいて逃げてしまいました。
おしまい
 ことわざの「虎の威を借る狐」は、この昔話から生れました。
※有力者の権勢をかさに着ていばるつまらぬ者のたとえ。 (広辞苑より)


◯寝ているだけの仕事

和歌山県の民話

むかしむかし、あるところに、働くのが大嫌いな男がいました。  毎日毎日、男は家で寝てばかりいたので、ついにお金もお米もなくなってしまいました。 (何もかも、なくなってしまったな。まあ、働かないといけないのはわかるが、汗水たらして働くなんて、まっぴらごめんだ。・・・ああ、どこかに、寝ているだけの仕事はないかなあ)
 男が、そんな都合の良い仕事を探しに外を歩いていると、向こうから見せ物小屋の親方がやってきました。  この見せ物小屋の親方は、珍しい動物を見せる商売をしているのです。 「なあ親方、どこかに、寝ているだけで金もご飯ももらえる仕事はないか?」
 とんでもない相談ですが、それを聞いた親方は手を叩いて言いました。 「ある、ある、あるぞ! 実は今、そんな仕事をしてくれる人を探していたところだ」
「へえ。そいつはありがたい。親方、ぜひともわしに、その仕事をさせてくれ」
「いいとも、仕事場までついて来い」
 男は喜んで、親方の後について行きました。  親方は町はずれで、獅子(しし→ライオン)やトラの見せ物小屋を開いていました。 「へえ、これが見せ物小屋か。・・・ところで、おれはどんな事をすればいいんだ?」
「なあに、簡単さ。ただ、このおりの中で寝ているだけだよ」
「何だって?! 獅子やトラと一緒にか?!」
 びっくりする男に、親方は声をひそめて言いました。 「心配するな。実はな、少し前に見せ物のトラが死んでしまって、困っていたところなんだ。そのトラの皮をはいであるから、お前さんはそれを着て、おりの中で寝ていてくれればいい」
「何だ、トラの身代わりか」
「そう言う事だ。ただ寝ているだけで、時々エサをもらい、おまけにお金までもらえるんだ。いい話だろう」
「確かに。なまけ者のおれにぴったりの仕事だな」
 そんなわけで、親方はさっそく男にトラの皮を着せて、おりの中へと入れました。  トラの身代わりは確かに楽な仕事で、あっという間に見世物小屋が終わる最後の日となりました。 (ああ、楽な仕事だったな)
 男が寝ながらそう思っていると、集まって来た人たちに親方が言いました。 「さあ、入った、入った。今日でもうお終いだよ。さて、そこで最後に、トラと獅子を一つのおりに入れて、けんかをさせて見せようではないか」
 そう言って親方は、隣のおりに入れていたライオンを、トラの毛皮を着た男のいるおりに連れて来たのです。  さあ、トラの毛皮を着た男はびっくりです。  男は逃げ出そうとしましたが、恐怖に足がすくんで動けません。 (わあわあ、もう駄目だ!)
 男は思わず、目をつむりました。  するとライオンが男のそばへ来て、小さな声で言いました。 「心配するな。わしも人間じゃ。獅子の皮を着て、身代わりの仕事をしているんだ」
 すると男は安心して、自分がトラになっている事も忘れて立ち上がると、 「いやあ、助かった。なんだ、あんたも偽物だったのか」
と、言ってしまい、二匹の猛獣がインチキだった事がばれてしまったのです。


◯トラになった王さま

モンゴルの昔話

むかしむかし、モンゴルの草原に、貧しいヒツジ飼いの夫婦が住んでいました。  夫婦には子どもがいないので、二人はさびしい思いをしていましたが、ある日突然、男の子が生まれたのです。  喜んだ二人は、男の子にグナンという名前をつけました。  このグナンはとても不思議な子どもで、生まれるとすぐに歩き出しました。  そして見る見るうちに成長して、次の日には普通の大人よりも大きくなってしまったのです。  お父さんとお母さんは、こんなに大きな子どもを、どうやって育てたらいいのか心配になりました。  すると三日目に、グナンが言いました。 「お母さん、家は貧乏ですから、ぼくがいたら食べ物に困るでしょう。だから、ぼくをどこかへ働きに行かせてください」 「そんな、生まれたばかりのお前を、働きに行かせるなんて」
 でも、確かにこのままでは、家の食べ物はすぐに無くなってしまいます。  お母さんは色々と考えたあげく、王さまならグナンを使って下さるだろうと思いました。  そしてお父さんとお母さんは、涙を流しながらグナンを旅に出してやりました。  さて、旅に出たグナンは、途中でお腹がペコペコになりました。 「何か、食べる物はないかな?」
 グナンが思っていると、ふいに一匹のオオカミが飛びかかってきました。 「やった! お昼ご飯がやって来た」
 グナンは大喜びでオオカミをやっつけると、丸焼きにして食べてしまいました。  それからグナンは、どんどん歩いて王さまのご殿につきました。 「ほう。大きな体をしておるな。さぞかし、よく食べるのであろう」
 グナンの体を見て王さまが言うと、グナンはひもじそうにお腹を押さえて言いました。 「はい。先ほどオオカミの丸焼きを食べたのですが、もうお腹が空いてきました」 「何と、オオカミの丸焼きを一人で食べたのか?」
 そこで王さまはグナンを試してやろうと、ウシの丸焼きを用意しました。  するとグナンはニコニコしながら、ウシの丸焼きをペロリとたいらげてしまったのです。  これを見て王さまはグナンを気に入り、自分のお側付きの家来にしたのです。  お側付きの家来になったグナンは、それからはいつも王さまのお供をして狩りに出かけては、大きな体で見事な獲物を仕留めたのです。  ある日の事、グナンが王さまと一緒に狩りに行くと、しげみの中から目を光らせたトラが飛びかかってきました。  王さまはビックリして、馬にムチをあてると命からがら逃げ出しました。  けれどグナンは落ち着いたもので、飛びかかってきたトラの片足をつかんで、ブルンブルンと振り回すと、そばの大きな木に叩きつけました。  これにはさすがの大トラも、そのまま死んでしまいました。  ご殿に帰り着いた王さまは、さっきのトラがまだ怖くて、馬から降りる事が出来ません。  そこで家来たちが、何とか王さまを馬から降ろしてやりました。  ちょうどそこへ、グナンが死んだトラをかついで戻ってきたのです。  それを見ると、王さまは腰を抜かすほど驚いて、家来たちに言いました。 「皆の者、早く入り口を守れ! トラを中に入れるな。グナン! お前はそれ以上近づくな!」
「あのう、王さま。トラは死んでいるのですが」
 グナンが、そう言うと、 「何だ、それならそうと、早く言え」
と、王さまはそのトラの皮を家来にはがせて、立派な敷物を作りました。  こんな敷物は、どの国の王さまも持っていないでしょう。 (なかなかに素晴らしい敷物だ。よし、今度はトラの王の皮で、わしの着物を作ってみよう。そうすれば、世界中の王たちに威張れるぞ)
 そこで王さまは、グナンを呼んで命令しました。 「三日の間に、トラの王を捕らえて来い。捕らえて来なければ、お前の命はないぞ」
 さあ、グナンは困ってしまいました。  何しろ、トラの王さまがどんな姿で、どこにいるのか分からないのです。  しかも、三日の間に捕らえて来なければ、命はないのです。  グナンが、ほとほと困っていると、 「グナンや。心配する事はない。この、あし毛の馬に乗っていきなさい」
と、言う声がしました。  振り返ってみると、一人のおじいさんが、あし毛の馬と一緒に立っていました。 「トラの王は、遠い北の山のほら穴の中にいる。さあ、これに乗って行きなさい」
 おじいさんはそう言うと、煙のように姿が消えてしまいました。  グナンはさっそく、そのあし毛のウマに乗って出発しました。  馬はとても足の速い馬で、まるで放たれた矢のように走りました。  しばらく走って行くと、ふいに、 「助けてえ!」
と、子どもの声がしました。  見ると、小さな家のそばにいる女の子に、一匹のオオカミが襲いかかろうとしていました。  グナンはウマに乗ったまま、急いで弓に矢をつがえて放ちました。  矢は見事にオオカミに命中して、女の子は無事に助かりました。  この時、家の中から女の子のお母さんが駆け出してきました。  そして子どもを助けてくれたお礼に、ヒツジの骨を差し出しました。 「家は貧乏なので、何もお礼をする事が出来ませんが、せめて、このヒツジの骨をお持ち下さい。きっと、お役に立つ時が来ます」
 グナンはそれを受け取ると、また北ヘ向かってウマを走らせました。  しばらくすると、グナンは大きな川に出ました。  川には橋も、船もありません。  その時、川の中から大きなカメが現れて言いました。 「お前には、この川は渡れないだろう。早く家に帰りなさい」 「いや、何とかして、渡ってみせる」
 それを聞くと、大ガメは川の中からはい出して来て、グナンに言いました。 「なかなか、しっかりした若者だな。ひとつ、お前に頼みがある」
「はい。ぼくに出来る事なら」
「実は、わしの左目を新しい物に取り替えたいのだが、どうしても左目が取れないんだ。どうか取ってくれないか?」
「いいですとも」
 グナンは、カメの左目をほじくり出してやりました。  そのとたん、カメは一匹のリュウになって、 「ありがとう。おかげで新しいのに取り替えられる。お礼に、その目玉を持って川を進みなさい」
と、言うと、天高く飛び去って行きました。  グナンが手の中の目玉を見ると、目玉はキラキラと光り輝く水晶の玉に変わっていました。  グナンは言われた通り玉を持って、馬と一緒に川に飛び込みました。  すると不思議な事に川の水が二つに分かれて、川の真ん中に道が現れたのです。  おかげでグナンは馬に乗ったまま、川を渡る事が出来ました。

 しばらく行くと、ある家の前で、ヒツジ飼いのおじいさんが涙を流していました。 「おじいさん。どうかしたのですか?」
「はい。実は昨日、娘がトラの王にさらわれてしまいました」 「トラの王だって?! では、奴の住みかも近いにちがいない。おじいさん、わたしがきっと、娘さんを助け出してあげます」
 そう言うとグナンは馬にムチを当てて、飛ぶように駆けていきました。

 それからしばらくして、グナンはトラの住みかを見つけました。  その入り口には、何十匹ものトラが見張りをしています。  さすがのグナンでも、何十匹のトラを相手にする事は出来ません。  そこでグナンは、持っていたヒツジの骨をトラが見えるところに投げました。  するとトラは、一斉に骨へと集まりました。 (よし、今の間だ)
 グナンはその隙に、ほら穴の中へと飛び込みました。  ほら穴の奥では、一人の美しい娘が座っていました。  娘はグナンを見ると、ビックリして言いました。 「早く逃げて下さい。トラの王が、もうすぐ帰ってきます」 「いや、あなたを助けるのが先です。さあ、この馬に乗ってください」
 二人がほら穴を出ると、見張りのトラたちは、まだヒツジの骨を奪い合って食べています。  グナンは馬にムチを当てて、風の様に山を駆け下りました。  この時、突然あやしい風が吹き出しました。  振り返ると、全身に光り輝く金色の毛が生えている、大きな体のトラが追いかけてくるのです。  これが、トラの王です。  グナンは馬を走らせたまま振り向くと、トラ目掛けて矢を放ちました。  矢はトラ王の片目に当たりましたが、怒ったトラ王はひと声吠えると、鋭いツメでグナンを馬から引きずり下ろしました。  しかしグナンは怪力でトラ王を頭上に持ち上げると、トラ王の体を地面に叩きつけました。  そして、フラフラと起き上がったトラ王の頭の上に、そばにあった大きな岩を、  ドシン! と、投げつけたのです。  これにはさすがのトラ王も、死んでしまいました。

 こうしてトラ王をやっつけたグナンは、死んだトラ王を引きずって娘の家に戻りました。  するとおじいさんは、 「娘を助けてくださって、お礼の言葉もありません。どうか、この娘を嫁にもらってください」
と、言って、娘をグナンのお嫁さんにしてくれたのです。  トラ王を殺したグナンは、美しいお嫁さんを連れて王さまの元に帰ってきました。  王さまはそれを見るとグナンの美しいお嫁さんが欲しくなり、グナンに言いつけました。 「お前の妻に、トラ王の皮でわしの着物を作らせろ。その時、トラの毛が一本でも抜け落ちたら、罰として妻を差し出せ」
 グナンのお嫁さんは、その命令通りに、トラ王の皮で着物を縫い上げました。  確かに注文通りの着物なので、王さまはグナンのお嫁さんを手に入れる事は出来ませんでしたが、そのトラ王の皮の着物を見ると、すっかり機嫌を直して喜びました。  そして国中の人々に、この着物を着た自分の姿を見せてやろうと、命令を出して国中の人々をご殿に呼び集めました。  そして国中の人々が注目する中、王さまは台の上に登ると、家来たちに命じて金色に光るトラ王の皮の着物を持ってこさせました。  そして王さまの体に、家来たちが金色に光るトラ王の着物を着せたとたん、王さまの口が見る見る大きく裂けて、王さまは本物のトラになってしまったのです。 「ウォーッ!」
 トラになった王さまは、大きく吠えると、びっくりして逃げ出す人々を次々と襲いました。 「あなた、人々を助けてあげて」
「よし、わかった!」
 グナンは、お嫁さんの言葉に飛び出しましたが、この時のグナンは、弓矢を持っていません。  どうしようかと思っているうちに、そのトラがグナン目掛けて襲いかかってきました。  けれどグナンは、少しも恐れません。  グナンはトラの尻尾を両手で捕まえると、トラをブンブンと振り回して地面へと叩きつけました。  そしてグナンはトラの頭を踏みつけて、トラになった王さまをやっつけたのです。
 それからのち、この国の新しい王さまになった若い王さまは、グナンを英雄だと褒め称えて、グナンに山の様な褒美を与えました。  そしてグナンは、美しい妻とあし毛の馬に乗って、お父さんお母さんの待っている我が家へと帰り、新しい王さまにもらった褒美でいつまでも幸せに暮らしたのです。


◯トラとキツネ

和歌山県の民話

むかしむかし、中国のトラが海を越えて、日本へとやって来ました。  日本のキツネは頭が良いと聞いたので、キツネと勝負をしようと思ったのです。  トラはキツネを見つけると、さっそく言いました。 「俺は中国から来たトラだ。何でもよいから、お前と勝負をしたい」
「ふーん、勝負ねえ」
 キツネは、竹やぶを見ながら言いました。 「勝負なら、竹やぶの中での早歩き競争はどうですか? 時間は明日の朝。こっちの竹やぶの端から出発して、反対側の端まで先に到着した方が勝ちです」 「よし、それはいい」
 トラは、ニヤリと笑いました。  トラは竹やぶの中に住んでいるので、竹やぶの中での早歩き競争なら勝ったも同然です。  けれどキツネには、ちょっとした考えがあったのです。  キツネはトラと別れると、すぐに仲間のキツネを集めて早歩き競争の事を話しました。 「いいか。ここで負けたら、我々日本のキツネの恥になる。  そこでだ。  今夜のうちから、みんなはあちこちに隠れていてほしいんだ。  そしてぼくが、 『よーい、どん!』
と、大声で言ったら、ぼくのふりをして先に反対側の端で立っているんだ。  中国のトラは、キツネと言う生き物はぼくしかいないと思っている。  だから反対側の端にキツネが立っていたら、てっきりぼくが先についたと思ってくやしがるだろうよ」
「よし、わかった」
 仲間のキツネは、さっそくあちこちに隠れました。  さて、朝が来ました。  トラは大はりきりで、竹やぶの出発点にやって来ました。 「では、トラさん、始めますよ」
 キツネはそう言うと、大きな大きな声で 「よーい、どん!」
と、言いました。  するとトラは、さっそく早足で竹やぶの中を歩き始めました。  一緒に歩き始めたキツネを引き離して、ぐんぐんと竹やぶを進んで行きます。 「わはははは。おろかなキツネめ。このおれにかなうものか」
 トラは、大笑いです。  ところが反対側の端近くに来て、トラはびっくりです。  なぜなら、ずっと後ろにいるはずのキツネが、にやにや笑って立っていたからです。 「なぜだ!」
 トラはくやしがって、キツネに言いました。 「もう一度勝負だ。ここから元の場所まで競争しよう!」
「いいですよ。では」
 キツネは、大きな大きな声で、 「よーい、どん!」
と、言いました。  トラは、さっきよりも頑張って、竹やぶの中を進みました。 「よし、今度こそおれさまの勝ちだ」
 そう思ったのですが、最初の場所にはすでにキツネが立っています。 「トラさん。遅かったですねえ」
 トラは、またまたくやしがり、もう一回、もう一回と、それから七回も競争を繰り返しました。  でも、何度やっても同じ事です。 「ちくしょう、おれさまが負けるなんて!」
 くたくたにくたびれたトラは、くやし涙をこぼしながら中国へ帰って行きました。  けれど中国に帰ったトラは、キツネに負けた事がどうしてもくやしくて、自分の家来のネコに命令しました。 「お前たち、日本へ行って、キツネに噛みついてやれ!」
 でもトラが日本へ送ったネコは、とてもあわてん坊のネコで、『キツネ』と『ネズミ』と聞き間違えて日本に来てしまったのです。  それで今でも、ネコはネズミを見つけると、追いかけまわすのだそうです。


◯トラのはじまり

カンボジアの昔話

むかしむかし、ある国に、立派なひげを生やした王さまと、しなやかな体つきのお后さまと、四人の大臣と、一人の侍従(じじゅう)がいました。

 王さまはとても良い王さまで、国はとても平和でした。  争い事もないので、この国には兵隊が一人もいません。  ですから、もしも他の国が攻めてきたら、この国は、あっという間に取られてしまうでしょう。  その事を思うと、王さまはとても心配になるのでした。  ある日の事、王さまはこんな話を耳にしました。  インドのタカシラ王国には、テサパマカ大師という偉い坊さんが住んでいて、法術(ほうじゅつ)を教えてくれるというのです。  法術とは魔法のような術で、国を治める事にも身を守る事にも、何にでも使えるのです。 「わたしはこの国を守るために、タカシラ国に行って法術を習ってくるつもりだ」
 それを聞いたお后さまは、 「そんな遠いところへ、王さまをお一人ではやれません。どうぞ、わたくしもお連れ下さい」 と、王さまに頼みました。 「王さま、それならわたくしたち四人も、お連れ下さい」
「どうかわたくしも、お願いします」
と、四人の大臣と侍従も願い出ました。 「わかった。みんながそれぞれ法術を覚えてくれたら、この国は安泰だ」
 王さまは承知して、みんなを一緒に連れて行く事にしたのです。  そして国を出てから七日目に、王さまたちはタカシラに到着しました。  王さまはさっそく、テサパマカ大師にお願いしました。 「どうか、わたくしどもを、お大師さまの弟子(でし)として法術をお教えくださいまし」
 みんなが熱心に頼んだので、大師は快く引き受けてくれました。  こうして王さまたちは、大師から色々な術を習いました。  中でもすごいのは『変化の術』で、呪文(じゅもん)を百回となえると、鳥にでも魚にでも、化け物にでも、頭で考えた物に、何にでも変身出来る術です。  こうして法術を学んだみんなは、大師に何度もお礼を言って国へ帰ることになりました。  さて、タカシラを出発して三日目の事です。  みんなは気がつくと、いつの間にか深いジャングルに迷い込んでいました。  どこを探しても、出口が見つかりません。  そのうちに、持っていた食べ物がなくなってしまいました。  このままでは、みんな飢え死にしてしまいます。 「食べ物はないし、出口がどこかもわからない。どうすればよいだろう?」
 王さまが言うと、侍従が答えました。 「王さま、わたくしどもは、『変化の術』を学びました。ここで七人が一匹の猛獣(もうじゅう)になってはいかがでしょうか? そうすれば、獲物を捕って食べながら道を探せます。やがて国へ帰りついた時に、元の姿に戻ればよろしいかとぞんじます」
 これを聞いて、王さまも、お后さまも、四人の大臣も、 「なるほど、それはいい考えだ」
と、言いました。 「それではまず、みんなが猛獣のどの部分になるかを決めよう。それから一緒に、一匹の猛獣に変わろうではないか」
 王さまが言うと、四人の大臣が言いました。 「わたくしどもは、国の柱と言われています。ですから、四本のガッチリとした足になりとうございます」  次に、侍従が言いました。 「わたくしは、王さまをお助けする役目ですから、猛獣が獲物を探すための助けになる、尻尾になりたいと思います」
 次に、お后さまが言いました。 「わたくしは、その猛獣の体になりましょう。わたしはしなやかな体をしているので、猛獣の体にぴったりですわ」  これで、体と足と尻尾が決まりました。  後は、頭だけです。  王さまが言いました。 「よし、ではわたしが頭になろう。みんな、それぞれ変身する部分を頭に思い描いて、呪文を唱えるのだ」
 七人は声を合わせて、大師から教わった呪文を百回となえました。  すると七人の体は一つになり、今まで誰も見た事がない、力強い猛獣へと変身したのです。  その猛獣は、『トラ』という名がつけられました。  他のどの動物よりも強いトラは、その日からジャングルの王さまとなりました。  王になったトラは、シカでもウサギでも、目についた動物を片っ端から捕らえて食べました。  どの動物もトラを怖がって、トラに逆らおうとはしません。  このジャングルの生活にすっかり慣れてしまったトラは、やがて自分の国に帰る事も、そして自分たちが人間であった事も忘れてしまいました。  これが、ジャングルの王さま、トラのはじまりです。


◯命より大事なトラの皮

江戸小話

むかしむかし、猟師の父親が息子を連れて、山の中を歩いていました。 すると岩かげからいきなりトラが飛び出して来て、大きな口で父親をくわえると、父親を持ち去ろうとしたのです。  驚いた息子は鉄砲をかまえると、逃げて行くトラに狙いをつけました。  そして息子が引き金を引こうとすると、それを見た父親が大きな声で言いました。 「息子よ! 足だ! 足だ! 足を狙うのだ! もし体に玉の傷がつくと、トラ皮の値段が下がってしまうからな」


◯キツネのトラ退治

インドの昔話

むかしむかし、ある森の中に、一匹のトラが住んでいました。  トラはお腹が空くと、森の動物たちを捕まえて食べてしまいます。  だから森の動物たちは、いつトラに襲われるかもしれないと思うと、もう心配で心配で、森の中を歩く事が出来ません。  そこで動物たちは相談して、トラにお願いをしました。 「トラさま。実はお願いがあります。トラさまの所に、誰かが毎日食べられに来ますから、わたしたちと森で出会っても、決して襲わないでください」
 食べ物を探しに行かなくてもいいので、トラは楽が出来ます。 「よし、わかった。約束しよう。その代わり明日から、毎日一匹ずつ来るんだぞ」
 さて、誰が一番最初に食べられるかと、森の動物たちが相談していると、 「ぼくが行こう」
と、頭がかしこいと評判のキツネが手を上げました。 (何とかして、あのトラをやっつけてやる!)
 次の朝、キツネは、わざとゆっくり歩いてトラの所へ行きました。  お腹を空かせたトラは、遅れてきたキツネに怒鳴りました。 「何をぐずぐずしていた! わしは、もう腹が減って死にそうだ。早くお前を食わせろ!」
 するとキツネは、困った様子で言いました。 「あの、実は、ここへ来る途中に、もう一匹のトラがいて、わたしを食べると言うのです。  そこでわたしは、 『とんでもない。わたしは、これからあなたの仲間へ食べられに行く所です』 と、答えたら、もう一匹のトラは、 『狩りもせずに獲物を食べようとは、生意気なトラだ。わしがやっつけてやるから、ここに連れて来い!』 と、言われたのです」
 すると、それを聞いたトラはかんかんに怒って、 「何、このわしをやっつけるだと! いますぐ、そいつのところへ案内しろ! 反対にやっつけてやる!」
と、言いました。  そこでキツネは、トラを深い井戸へ連れて行きました。 「トラさま、そいつは、この中にいます」
「よし、お前はどいていろ」
 トラが井戸の中をのぞいてみると、井戸の中にトラの姿がありました。  と言っても、本当は水面に映った自分の姿なのですが。 「お前か! わしをやっつけると言ったトラは! 覚悟しろ、反対にやっつけてやる!」
 トラは井戸の中へ飛び込むと、水におぼれて死んでしまいました。 「やれやれ、これで森は平和になった」
 トラを退治したキツネは、大喜びで森の動物たちの所へ帰って行きました。


◯化け物トラ

スマトラの昔話

昔々、シマルングンにベグ・サリサリハンと呼ばれる人間の姿に化けることのできるトラがいたそうです。その化け物のトラは、いつも人間を捕まえて食べていました。一番の好物は肉の柔らかい人間の子供でした。ベグ・サリサリハンは、自分が食べた人間が身に着けていた装飾品を集めるのも好きでした。ベグ・サリサリハンは人間を捕まえるときには、人間の姿に化けて、人々の中に紛れ込みました。

ある日の夕方、もう日が暮れる頃、一人の物乞いの女性が小さな子供を抱いて森の脇を歩いていました。すると、人間の姿に化けたトラが、その女性を待ち伏せし、彼女に家に泊まるよう声をかけました。とてもやさしい言い方だったので、物乞いの女性はその人の家に泊めてもらうことにしました。家に着くと、その人は物乞いの女性とその子供に食事を与え、彼らのために寝室を用意しました。

食事が終わると、物乞いの女性は子供と一緒に、その人が用意してくれた部屋に入りました。その女性が部屋に入ったのを見て、ベグ・サリサリハンは喜びました。彼は、彼らが眠ったら、彼らに襲いかかろうと計画していたのです。しかし、物乞いの女性が目をつむろうとしたとき、かすかにトラの唸り声のような声が聞こえてきました。その化け物のトラは喜びのあまり、声を出してしまったのです。物乞いの女性は、自分達が化け物のトラに捕まってしまったのだということに気づきました。そのため、彼女は、どうやってここから逃げ出そうかと考えました。子供がうとうとしてきたのを見て、彼女は子供の目を覚まそうとつねりました。隙があったら、いつでもすぐに逃げられるようにするためです。しかし、母親につねられて、子供は泣き出してしまいました。 「どうしてその子は泣いているんだい?」と、化け物のトラは聞きました。
物乞いの女性は答えました。「この子は私に金のブレスレットをねだったのだけれど、私がそんなものは持っていないと言うと、泣きだしてしまったんです。」
それを聞いて、化け物のトラは、早く彼らを寝かしつけようと、すぐに金のブレスレットをもってきました。 しばらくすると、その子はまた泣き出しました。また母親につねられたのです。化け物のトラはまたどうして鳴いているのかと聞きました。母親は「今度は金のネックレスが欲しいといいだして、泣いているのです。」と言いました。化け物のトラは、母親と子供を早く寝かしつけるために、金のネックレスをその子にあげました。

本当は、子供は金のブレスレットやネックレスなどをねだってはいませんでした。ただ母親が高価なアクセサリーを手に入れようと思い、そう言っていただけです。母親は、トラの家の中にたくさんの金や宝石のアクセサリーが置いてあるのを見つけていたのです。 眠ってしまったら、トラの餌食にされてしまうと思い、朝になるまで母親も子供も一睡もできませんでした。彼らが眠るのを待っていたトラも、ごちそうにありつけないまま、朝になってしまいました。それから、物乞いの女性は、化け物のトラに「ビンロウジの実を採る道具を家の下に落としてしまったようなので、ちょっと外に行ってさがしてきます。」と言いました。 トラは「どうぞ、行ってきなさい。」と言いました。
トラは、母親が外に行っている間に子供を食べてしまおうとたくらんでいました。しかし、母親は子供を連れて行きました。彼女は、ベッドの上に枕を毛布にくるんでおいて、子供に見せかけておきました。 外に出ると、物乞いの女性は、子供を連れて走り出しました。彼らはトラの家から近いところにある川に向かって走りました。彼らは、その川にかかっている竹の橋を渡りました。そして、向こう岸に渡ると、彼女は橋の先がほんの少しだけ地面にかかるように、橋の位置をずらして、誰かがその橋の上に乗ったら、すぐに川に落ちるようにしました。 母親が外に出て、しばらく待ってから、トラは静かに物乞いの女性と子供の部屋に入りました。部屋のランプの薄暗い明かりの中で、ベッドの上には子供が寝ているように見えました。トラは、ベッドの上の子供に勢いよく襲いかかりました。しかし、それが子供ではなく、毛布でくるんだ枕であることに気づくと、トラはくやしがりました。

そして、カンカンに怒ってたトラは、家から飛び出し、物乞いの女性とその子供を追いかけました。トラは、母親はまだ家の下でビンロウジの実を割る道具を探しているだろうと思いました。しかし、行ってみると、彼女はもうそこにはいませんでした。母親と子供はもう橋を渡って逃げて行ってしまっていたのです。 化け物のトラは、その母親と子供を探し回りました。しばらくして、トラは川の向こう岸に子供を抱えた物乞いの女性がいるのを見つけました。すると、トラは向こう岸へわたろうと橋の方へ走っていきました。そして、化け物のトラがその橋を走って渡ろうとしたとき、橋はトラと一緒に川の中へ落ちました。そして、そのトラは川で溺れ死んでしまいました。 そのトラが死んだことを知って、物乞いの女性は喜びました。やっと、彼女と子供は、命を狙われていた一夜の恐怖から解放されたのです。それに、これで安心してトラの家から金や宝石の宝飾品を自由に持ち出せるのです。 まもなく、太陽が昇り、辺りが明るくなりました。物乞いの女性は、子供を連れて、ほかの橋を渡って急いでトラの家に向かいました。彼女は、トラの家にあった宝飾品を全部かき集めると、それを売りに行きました。そして、彼女はそれらの宝飾品を売って、お金持ちになりました。そして、物乞いをするのをやめました。


◯三つの山

新潟県

昔、ある村にこんな言い伝えがあった。林を抜けた一本道の先に深い谷があり、その向こうに三つの山がある。そして、その三つの山を越えれば宝の山があるのだと。しかし、今まで宝の山を目指して帰って来た者は、誰一人としていなかった。
この話を古老から聞いた清六(せいろく)という若者が、贅沢(ぜいたく)な暮らしを夢見て宝の山へと向かった。すると、一つ目の山の入り口で見慣れぬ老人に出会う。老人は清六に、宝の山に行きたくば、決して後ろを振り返ってはいけないと忠告する。
清六は険しい山道を登り、一番目の山の頂上に立つ。すると突然目の前に火の手が上がり、辺りは山火事になった。清六は、逃げようと思わず後ろを振り返ってしまった。すると清六の体は石になってしまい、谷底に落ちていった。

次は良助という若者が宝の山に挑んだ。良助は山火事の中、火を笠で防ぎ、なんとか二番目の山の上までやって来た。ところがこの先は針の原が広がっている。良助がどうしたものかと思案している所に、大蛇が襲いかかって来る。ここで良助も恐ろしさのあまり後ろを振り向いて、石になってしまう。
さて、ここに一郎太(いちろうた)という若者がいた。一郎太は、わずかばかりの畑を耕し、食べる物にも事欠く暮らしだった。そこで一郎太は、村を捨てる覚悟で宝の山に挑む決心をした。
一郎太も一番目の山を越え、二番目の山の上にやって来た。ここで一郎太は、襲いかかる大蛇を鍬(くわ)で倒した。すると大蛇は針の原の上に倒れ、大蛇の死体は三番目の山へと続く道となった。
三番目の山の上では巨大な虎が現れ、一郎太の行く手をふさいだ。しかし、さすがにこの虎には全く歯がたたない。そこで一郎太は、一か八か虎の口の中に飛び込んでみた。すると不思議なことに、虎の体の中には、なんとも美しい山里が広がっていた。
山里には山の入り口で出会った老人がおり、見事三つの山を越えた一郎太の望みを叶えると言う。そこで一郎太は、ずっとここで暮すことを望み、その後この豊かな山里で一生幸せに暮らしたということだ。


◯狼と虎

岩手県

昔、ある食料の豊かな山に、虎と唐獅子(からじし)が住んでいました。その山の下の荒れ地には、みじめなオオカミが住んでいました。
オオカミはいつもお腹を空かせ、虎の強烈な吠え声に迷惑していました。オオカミは、どうにかして虎を追い出し自分が豊かな山で暮らしたいと考え、友達のキツネに手助けを頼みました。
そこでキツネは、虎と唐獅子に「勝利したほうがこの土地に残る」という勝負を持ちかけました。虎&唐獅子は快諾し、さっそく三本勝負が始まりました。
知恵者のキツネは、吠え声対決もかけっこ勝負も虎に勝利し、最後の勝負「術比べ」もキツネの妖術で勝利しました。敗北を認めた虎と唐獅子は、約束通りこの山から去っていきました。
しかし、あくまでキツネの知恵により勝利を得たため、オオカミは虎たちのリベンジが恐ろしくなりました。結局、オオカミはこの食料豊かな土地を捨て、どこかへ逃げ出してしまいました。
こんなことがあってから、オオカミは虎と唐獅子の仕返しを恐れて、仲間たちと群れで暮らすようになりました。キツネはというと、今でも単独で行動しているそうです。


◯虎にまつわる伝説(昔話)

ここでは虎にまつわる伝説(昔話)を紹介しましょう。韓国に古くから伝わる「虎と干し柿」というお話を見ていきたいと思います! 昔々、ある夜のこと…一頭のお腹を空かせた虎が村にやってきました。エサを探してうろついていると、どこからか子供の泣き声が聞こえてきました。お母さんが言っています。「ほら、虎が来たよ!泣くのはおよし。」それを聞いていた虎はなぜ自分がいると分かったのか、びっくりしました。子供はいつまで経っても泣き止みません。お母さんはついに「泣き止まないなら、虎にあげてしまうわよ!」と叱りつけました。やっとエサにありつけると思い、玄関で口を開けて待つことに…。しばらくしても何も起こりません。すると、お母さんの「干し柿よ。」という声が聞こえてきました。と、子供が泣き止んだのです!あれほど泣いていた子が静かになったのなら干し柿というやつはよほど怖いものなんだ…と虎はおびえ、牛小屋へ逃げました。そこには偶然、泥棒が隠れていて暗やみの中、泥棒はトラを牛と間違えて乗ってしまったではありませんか!?怖い、これが干し柿だ!虎はとっさにそう思いました。そして、怖さのあまり猛スピードで走り続けましたが、泥棒も振り落とされません!そのとき夜が明けはじめ、ようやく虎に乗っていたことに気づいた泥棒は、虎が木の下を通ったときに枝にぶら下がりました。虎のほうもようやく干し柿という怪物から開放されたと思い、森へ帰っていきました。

トラのキャラクター

◯トラのもん

6月11日にオープンする虎ノ門ヒルズ。そのキャラクターがドラえもんっぽいと話題です。このキャラクターの名前は「トラのもん」。100年後の未来からやってきたネコ型ビジネスロボットです。藤子プロと提携して作成されたこのキャラクター、ドラえもんにそっくりですが体の色が白く、全身に虎ノ門ヒルズのロゴをイメージした黒い虎柄の縞模様があります。また、ドラえもんはネズミにかじられてなくなってしまった耳とドラえもんとは異なるしっぽも特徴的!

◯寅多ティティ

「とらやの羊羹(ようかん)」で知られる老舗和菓子屋「とらや(虎屋)」。そのとらやの海外店舗「とらや パリ」出店35周年祭限定商品「ヨウカンアラカルト」のパッケージに描かれたキャラクター「寅多ティティ」が「とにかく可愛い!」とインスタグラムを中心に今話題なんです!愛くるしいイラストを手がけたのは、漫画『きょうの猫村さん』でおなじみの、ほしよりこさん。

◯ティガー(A.Aミルン原作ディズニーアニメ「くまのプーさん」)
◯しまじろう(ベネッセの知育教材「こどもちゃれんじ」のキャラクター)
◯ゴロンタ(おかあさんといっしょに登場。トラのゴロンタ。1977年(昭和52)年4月〜1979年(昭和54)年3月放映!)
◯ホドリ(1988年ソウルオリンピックのマスコット。虎でしたね〜)
◯トラッキー・ラッキー(プロ野球阪神タイガースのマスコット)
◯ちびくろさんぼのトラ(最後はバターになってしまいましたね。絶版から復活して話題になりましたが、トラのイラストとても可愛いです)
◯おちゃのじかんにきたとら(ジュディス・カーさん作の絵本。素晴らしく美しいとらさんです)
◯トラゴロウ(児童書「目をさませトラゴロウ」に登場するトラノ・トラゴロウ)
◯トラ猫ミセスマーフィー(リタ・メイ・ブラウンさんの小説「町でいちばん賢い猫」シリーズの「トラ猫」。表紙絵のトラ猫が素晴らしく、もう、虎じゃなくてもいい〜!?)
◯屏風絵の虎(一休さんの、トラ退治エピソードです)
◯タイガー魔法瓶(ロゴが意外と可愛い!)

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